2025-01-01から1年間の記事一覧
高い門に強面の警備員、壁の外までは届く「ファシストに負けない」との声を締め出し自らを社会から隔離している学校が開かれていく話である(ただし1976年のアルゼンチンにおける名門寄宿学校という舞台の特殊性は私には分からない)。まず壊されるのは、英…
イスラエルの攻撃下にあるガザに暮らす24歳のフォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナとのビデオ通話を世界に送るドキュメンタリー。当初「パレスチナ人としてここにいるのを誇らしく思う」と話していたのが「本当の牢獄」の中で破壊されてゆき、それで…
冒頭のろう学校の授業での聴者の先生(小野花梨)の音声言語での「怒っちゃうぞー」「犯人だーれだ」はあり得なすぎる(その内容は勿論、どんな生徒の前でも極力背中は向けないものなのに)。子どもの不和は教員の、ひいては大人のせいだと言っている場面だ…
難民映画祭のオンライン上映にて観賞。原題Khartoum、2024年ドイツ・イギリス・スーダン・カタール、Anas Saeed、Rawia Alhag、Ibrahim Snoopy、Timeea Mohamed Ahmed、Phil Cox 監督作品。2022年、制作チームは30年の独裁政権を倒した後の「可能性に満ちて…
「部屋を丸く掃くやつなんですよ、女としてレベルが低いんです」と吐き出す依頼者(白ベルトにセカンドバッグの中島歩)が帰った後のサチ(岸井ゆきの)と弁護士の同僚の「どうして結婚するんですかね、離婚するのに」的なやりとりに、なぜ誰もが平等にでき…
東京フィルメックスにて観賞、2025年オランダ・フランス・スペイン・韓国・シンガポール、タン・スーヨウ監督作品。級長を決める手書きの投票用紙を教室のゴミ箱に捨てるものだろうか。私が担任なら処分するにしても一旦もらって持ち帰る(あんな学校には私…
難民映画祭のオンライン上映にて観賞。原題Another Place、2024年アメリカ、ジゼット・パノシアン監督作品。1990年に6歳でイランからアメリカへ避難した監督が、30年後にギリシャで参加し始めた支援活動の繋がりから自国を離れた若者3人の今(2021年~2023年…
カザフスタン映画祭にて観賞、2022年アイディン・サハマン監督作品。カザフスタンの国民的バンド、ドス・ムカサンの設立からの数年間を主に描いた伝記映画。ソ連の共和国から工科大学の学生が集まっての建設工事。カザフのとある若者は出がけにビートルズの…
難民映画祭のオンライン上映にて観賞。原題Comme tu es belle! / Kabul Beauty、2023年フランス、Margaux Benn & Solene Chalvon Fioriti監督作品。タクシーの外をゆくタリバンの男らに「かわいいね」と声を掛けられた二人の女性が「タリバンの彼氏を作る?…
テレビで見た『地獄の逃避行』(1973)からの図書館での調べ物からの、書いた詩の人称をheからIに、himからmeに変える、“Nebraska”が生まれる過程に引き込まれる。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)がエンジニアのマイク・バト…
ポーランド映画祭にて観賞。2025年ポーランド・フランス・スペイン、ミハク・クフィェチンスキ監督作品。「子どもの頃、走って咳をしただけで母は悲しそうな顔をした、ピアノを弾くようになってから走ってみたら咳は出なかった」。これは「強く健康な男性」…
フィンランド映画祭にて観賞。2024年フィンランド・イタリア・デンマーク、テーム・ニッキ脚本監督作品。堂々たる中年女が二人、田舎の一軒屋でアートに歌とめいめいの部屋でめいめいのことをしているオープニングに心掴まれる。ピルッコ(2023年の同映画祭…
フィンランド映画祭にて観賞。2025年フィンランド、ラウリ=マッティ・パルッペイ脚本監督作品。監督からのメッセージは「(この映像を見ている)お客さんは場内に一人かもしれないけど、そこのあなた、帰ったらバンドを結成してね」で終わるが確かにバンド映…
フィンランド映画祭にて観賞。2024年フィンランド、アンナ・ブロトゥキン脚本、イェンニ・トイヴォニエミ監督作品。監督からのメッセージ映像の「フィンランドのテキサスと言われるセイナヨキに撮影当時とても影響を受けた」にどんな場所かと見ていたら、父…
難民映画祭のオンライン上映にて観賞。原題Les Barbares、2024年フランス、ジュリー・デルピー監督作品。ブルターニュにやって来たシリア人一家の食卓を上から撮った画が鮮やかで心に残る(『スペース・スウィーパーズ』(2021年韓国)で数十年後の宇宙飛行…
日本語がない(私には目視できなかった)が日本だと分かる、ラナ・ゴゴベリゼの著書を念頭に言えば美しくはないビル群の光景に次いで、襖の前に座って湯呑みと鉛筆削りを前にノートに向かうシム・ウンギョン。彼女演じる李が書きつけるのが韓国語なのは、後…
所用で木曽へ。木々は紅葉し切って木曽駒は冠雪、立冬前日だったけど本当に冬の手前だった。 道の駅で食べた新そばにかき揚げ、木曽牛コロッケ、開田高原アイスクリーム工房のとうもろこしソフトクリーム、どれも美味しかった。買い物も楽しく、中でもピクル…
フィリップ・プティに憧れ「へり」を歩いていて落ちた初恋の人の笑顔にかぶる、「彼のことをどう紹介しよう」…そうだよね、好きな人なら迷うよねと思うオープニング。主人公ドンジュン(ホン・サビン、長じてシム・ヒソプ)の「夢は別の宇宙の自分になること…
東京国際映画祭にて観賞。2025年エジプト、サラ・ゴーヘル脚本監督作品。「私はタダでも働く」、母や姉達のように魚をとるよりずっといいしネリーと友達だから…と思っていた誕生日を持たない少女トーハが、雇い主の家の娘ネリーの誕生日を通じて自分は「働か…
東京国際映画祭にて観賞。2025年イギリス・アメリカ、ケリー・ライカート脚本監督作品。冒頭の一幕で美術館を去る際パパと呼ばれるムーニー(ジョシュ・オコナー)だが、自身の家では裏口から出入りし打ち合わせは地下室、食卓では判事である父親(ビル・キャ…
『ローズ家の戦争』(1989年アメリカ)を30数年ぶりに見て印象的だったのは、バーバラ(キャスリーン・ターナー)とオリバー(マイケル・ダグラス)がパーティでのある事につき言い合いになるも最後にはあいつらには分からないさと笑い合って寝るところ。共…
日本公開に際してのメッセージでアメリカ人女性のパメラ・ホーガン監督いわく「アイスランドを旅行で訪れた時この話を知り絶対映画になっているはずと見たくてたまらなくなったが無かった、だから作った」。近年の数々の映画同様に力強く証言する女性達の顔…
パンジー(マリアンヌ・ジャン=バプティスト)は妹シャンテル(ミシェル・オースティン)に「とにかく目を閉じて横になりたい」と漏らすが、映画は全ての窓にブラインドがきっちり下ろされ(尤も他の家もそうだが)何も窺えない家の中で目覚める彼女の叫び…
サム・フリークス Vol.32にて「人がたくさん死ぬコメディ2本立て」を観賞。 ▼『連続殺人狂騒曲』(1970年チェコスロバキア、オルドジフ・リプスキー監督)は主人公ジョージ(ルボミール・リプスキー)とのデートを決めたサブリナ(ジリナ・ボダロヴァ)への…
コリアン・シネマ・ウィーク2025にて観賞、2025年チョ・ハンビョル監督作品。定型すぎながら悪くないお話だけど、見せ方がうまくなく勿体ないと思った。ジェ二―(カン・ジヨン)がみそおじや?をくそ旨い!と食べるあたりまでは入り込めなかった。テンジャン…
ジャンル「親子が同じ店で夜遊びしている映画」である。それが示しているのは、その作品の舞台は映画であまり描かれない場所、狭義の世界だということだ。映画の終わりの「たくさん横転する」ストックカーレースの映像のいわゆるドキュメンタリーぽさに何故…
電柱の住所から「成城」かと思える、背後を横切るのが引っ越しのトラックだと分かる、そういう時に母語の、自分の領域の映画を見る有利さを感じる。映画とはそういうものだがこの映画はとりわけそれを感じさせる。さて成城で分かれる際に恵美(木竜麻生)が…
「ザンドラ・ヒュラー 変幻する〈わたし〉のかたち」にて観賞、2023年ドイツ・オーストリア・スイス、フラウケ・フィンスターヴァルダー脚本監督作品。結婚と修道院のどちらも嫌ならと母の命で皇后付きの侍女となった伯爵令嬢イルマ、「私」(ザンドラ・ヒュ…
奇想天外映画祭にて観賞、1993年フランス、トニー・ガトリフが自らのルーツであるロマの旅の歴史を一本の映画に収めたミュージカル。熱いけど滑らかな中にすっと飲み込まれる。風と動物に装飾品、「砂漠の果てにお嫁に行くのは辛い」といったような歌と共に…
目にした宣伝文の幾つかにあった「彼女はなぜ沈黙しているのか」が私には暴力的に思われ、映画自体は無関係と思いつつ腰が引けていたんだけど、見てみたらその自然さがとてもよかった。なぜ沈黙しているのかなんて言われてしまうようになった今こそこのよう…