2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧

サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件

村でたった一人のサッパルー(葬儀屋)のザック(アチャリヤー・シータ)が言うことには、「葬儀屋が守るべきは死者は全て平等だということ」「死者は先生、生者は生徒」そして「死者と生者は分けられねばならない」。それに則り、病で動けなくなった彼の代…

テレビの中に入りたい

物語の始め、オーウェン(長じてジャスティン・スミス)はテレビ番組『ピンク・オペーク』をCMでしか知らない。子どもは往々にして断片のみを掴まざるを得ないはめになるが、ここではその理由は「10時に寝ると決められているから」、親の支配下にあるからと…

殺人配信

終わってみれば、これならパク・ソンウン主演『配信犯罪』(2022年、感想)の方がまだ納得できた。今どき「若い女性が薄着で殺される」なら描くのに本気の覚悟か陳腐でなきゃならない理由のどちらかが必要で、本作には後者があるようなないような、「警察は…

ジャニス・イアン 沈黙を破る

Peter Barakan's Music Film Festival 2025にて観賞、2024年アメリカ、ヴァルダ・バー=カー監督作品。「テレビ」の中のレナード・バーンスタインに始まり、少し遡ってジャニス・イアンが13歳で書いたSociety's Childが世に出るまで(バーンスタインがホスト…

メイヴィス・ステイプルズ ゴスペル・ソウルの女王

Peter Barakan's Music Film Festival 2025にて観賞、2015年アメリカ、ジェシカ・エドワーズ監督作品。前日にアンコール上映で『七転八起の歌手 バーバラ・デイン』(2023年、感想)を見たばかりなので、ジャンル融合のショーに出演したボブ・ディラン、バー…

七転八起の歌手 バーバラ・デイン

Peter Barakan's Music Film Festival 2025のアンコール上映にて観賞、2023年アメリカ、モーリーン・ゴスリング監督作品。フォーク、ブルーズ、ジャズの歌手であり社会運動家、フェミニスト、FBIに監視され「政府の思惑通りになっていれば全く違うレベルで売…

ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家

映画の終わり、2018年末のフィルハーモニー・ド・パリでのコンサートがその場にいた人々の証言を交えながらかなりの尺を取って再現されるのを見ながら、これは愛と死の物語なんだと思った。クロード・ルルーシュの言うように「称賛から愛が生まれる」ならこ…

マリアンヌ・フェイスフル 波乱を越えて

Peter Barakan's Music Film Festival 2025にて観賞、2017年フランス、サンドリーヌ・ボネール監督作品。『裸のランチ』を読んで実践したくなったと始まる路上生活の話に『やわらかい手』(2007年ベルギー、ルクセンブルク、イギリス、ドイツ、フランス)で…

平日の記録

新丸ビルにオープンしたカフェアアルトで、ランチ時のカフェアアルトセット。ヘルシンキのお店を知らないけれど、狭いながら調度や眺めが心地よい。サーモンスープもシナモンロールも美味しかった。今度はビルベリーのタルトやパイを食べたい。夏の終わりの…

最後のピクニック

本作主演のナ・ムニも出ている『ディア・マイ・フレンズ』(2016)に『まぶしくて』(2019)、直近なら『天国より美しい(邦題「君は天国でも美しい」)』(2025)とドラマなら高齢女性が主人公の韓国作品を幾つも見てきたけれど(しかしどれもキム・ヘジャ…

ふつうの子ども

「ふつうの子ども」とのタイトルに小学四年生の唯士が登校時のエレベーターに一人乗る顔のアップ、つまり現実では見られないものを見るのに始まり、話が進むにつれカメラが引いていくのに従い、「ふつうの大人」の姿も含め私達のいつもの世界が違ったふうに…

侵触

前半は母と娘の、後半は母と娘のような者達の、完全に女だけの話である。しかし男の存在する世界で生きる女達の話であることが、元夫が「娘を恐れて逃げた」と示唆されることを始めとして表現されている(これは昨今日本でよく取り上げられる、子が「普通」…

バルコニーの女たち

「フランス映画と女たち PART3」で観賞、2024年ノエミ・メルラン脚本監督、セリーヌ・シアマ共同脚本作品。とりわけ一人暮らしの場合、女が住んでいると分からないよう洗濯物は外に干さずカーテンの色にも気を遣いましょうなどと言われるものだけど、この映…

美しく、黙りなさい

「フランス映画と女たち PART3」で観賞、1981年デルフィーヌ・セリッグ監督作品。ハリウッド1975年、パリ1976年と最後に出る…ということは去年見て感じ入ったジャンヌ・モローの監督作『リュミエール』と同じ頃に作られている。1981年なら前日見たアニエス・…

わがままなヴァカンス

「フランス映画と女たち PART3」で観賞、2019年レベッカ・ズロトヴスキ監督作品。休暇を前に16歳になったジーンズ姿のネイマ(ミナ・ファリド)は同級生から歌に菓子パン、皆で集めたらしき現金をもらう。親友の、「女優になりたい」「うちらは姉妹みたい」…