2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧
(以下、結末に触れています)ドキュメンタリー『マダム・ベー 脱北ブローカーの告白』(2016年韓国)の、ようやく辿り着いた大都会ソウルの空撮に「共産主義の蛮行を忘れてはいけません」というプロパガンダの声が重なる演出は忘れ難い。北から来た人々に対…
映画は壇上の校長目線で始まり壇上の校長目線…でなく中山先生(渋川清彦)の横顔で終わる(から最後に出るように「教頭の人生」なわけだ、そこにいるのは校長ではなく彼自身)。このオープニングのために作中では朝礼の後に校長室で七名のみでの朝会という学…
東京アニメセンターで開催中の「ひつじのショーン展 with ウォレスとグルミット」に滑り込み。これを撮影するとああなるのか、映画を作る力ってすごいなあという気持ちが強く残った。右は同居人がジオラマの隙間から撮った超かわいい一枚。先月オープンした…
「別人になりたがってるように見えたから」とリタ(ドリー・デ・レオン)が開いたドアにダン(キース・カプフェラー)は足を踏み入れる。『セイント・フランシス』(2019年アメリカ)監督コンビの新作の主役がおじさん?と見てみたら、オールドスクールな人間…
(以下少々「ネタバレ」しています)リメイク元である『ヒドゥン・フェイス』(2011年コロンビア・スペイン)と異なりこの映画では「消えた婚約者」であるスヨン(チョ・ヨジョン)がソンジン(パク・サンフン)とミジュ(パク・ジヒョン)を繋げたことが冒…
予告に是非見たいと思ったのは、第一に「女同士の(文字をうつのも嫌だけど)ドロドロ」に使われてきた類の設定が書き直されるのを求めているから、第二に最近の映画ならアルモドバルの『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』でも女二人が同じ男と(同時にじゃない…
レインボー・リール東京にて観賞、2024年フランス、アレクシ・タイヤン監督作品。フランス初のクィア・シニア団体「グレイ・プライド」のメンバー三人の語りを通じて老いとセクシュアリティのテーマを追うドキュメンタリー。話し合いの場における高齢者施設…
レインボー・リール東京にて観賞、2023年イギリス。脚本監督のジャニス・ピューは北ウェールズの出身で、舞台はリバプール近くの小さな町。家の外への窓は開けつつ家の中で自身を守るようにイヤホンをつけているヘレン(ルイーズ・ブリーリー)と、父親が死…
昔ながらの一軒家から集合住宅に住むようになって何十年、いまだ慣れない一つは、昼間でも外の明るさが認識できず、玄関のドアを開けると思っていたより必ず明るいということだ…と再確認するオープニングの一幕で舞台が私(と、同世代である早川監督)の子ど…
デジタル・リマスター版をユーロスペースにて観賞。案外と内容を覚えていたけれど、今でも新鮮だった。古くなったところは多々ある、発言内容以前に当事者の少なさ、とりわけ登場する役者はほぼ「ゲイを演じたストレート」なのだから。『メーキング・ラブ』…
『大都会の愛し方』(2019年パク・サンヨン)の主人公ヨンはジェヒの言動に逐一、これがジェヒだ、ジェヒらしくない、やっぱりジェヒだなどと心に思う。小説は徹頭徹尾ヨンの語りであり、唯一その名前がタイトルとなっているジェヒも、いやタイトルになる位…
アイルランド映画祭にて観賞、2024年アイルランド、アン・マッケイブ監督作品。大好きなパパとのお約束のやりとり「今日の最高と最悪は何だった?」を主人公モリーは一人でもし続ける。パパが昏睡状態になったあの日の最高は家族でビーチで過ごしたこと、で…
ドビッシーの「夢」がこんなにも全編に渡って(変奏含め)流れる映画ってない。死んでもいない父親単独の写真がダイニングルームに掲げられた一家の、弟は弾けるが兄は弾けない。うなだれる兄へのピアノの先生の「大人でも難しい、二拍三連と八分を同時に弾…
監督が祖母との実体験を元に撮ったという本作の主演は93歳のジューン・スキッブ。前日『ブルー・ロード エドナ・オブライエン物語』で同年代のエドナのインタビューを見たところだし、オゾンの『秋が来るとき』やドラマ『天国より美しい』の「80歳の主人公」…
アイルランド映画祭にて観賞、2024年アイルランド、シネイド・オシェイ監督作品。映画でよく見る場所が映った後、ウォルター・モズリイ(デンゼル主演で映画化された『青いドレスの女』の作者)が「ブルーカラーのハーバード」ことシティカレッジでエドナ・…
アイルランド映画祭にて短編中編を同時上映で観賞。『メモリーズ・オブ・アザーズ』は2024年アイルランド、マーク・レッサー、ポーリン・ヴェルメール監督作品。ベトナム戦争の報道写真で知られる写真家の岡村昭彦が北アイルランド紛争の渦中に撮影した作品…
(以下「ネタバレ」しています)「ばばあの娼婦だ」と暴言を吐く老いた男、ルカの上級生らに偏見を植え付ける大人、ミシェル(エレーヌ・ヴァンサン)と親友マリー=クロード(ジョジアーヌ・バラスコ)それぞれの子はそうした環境で育ってきた。ヴァレリー…