2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

アメリカン・フィクション

これでどうだと自棄もあっての社会運動のつもりで垂れたクソが「馬鹿をすることが金になるアメリカ」では祭り上げられ、「いかにも黒人だ」と言われたあげく世に出て大金になるというお笑いと、主人公モンク(ジェフリー・ライト)の「黒人らしくない」がハ…

マダム・ウェブ

孤独を感じていた女四人が家族になり「未来は『まだ起きていない』」ということを武器に闘うようになる…という前日譚なわけだけど、お話はもとより細かい描写の数々が面白かった(映画にはそれこそが大事)。タハール・ラヒム演じる悪役エゼキエルが登場する…

落下の解剖学

冒頭ヴァンサン(スワン・アルロー)が白い紙に図解しながら「ぼくらはこの線を通さなければ」と言うのに、法においてどうこうという意味じゃなく、なぜ自分の無罪だけでなく他の話を示さなきゃならないのかと思いつつ見始めたら、これは皆が自分の物語を通…

ソウルメイト

(以下「ネタバレ」しています)序盤はオリジナルにない要素である「教室の空席」「雨に濡れた子猫」などをクリシェに感じて乗れなかったけれど、ミソ(キム・ダミ)とハウン(チョン・ソニ)が文通するあたりから引き込まれる。私にはこれは「女は旅ができ…

ぼくの好きな先生

早稲田松竹の二コラ・フィリベール特集にて久々に観賞、2002年フランス制作。序盤は子ども達がこちらをちらと見てくるのが授業参観あるいは研究授業…という既成の、日本の言葉はしっくりこないけど…に参加しているようで楽しい。牛のそんなように見える目つ…

ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ

こんなの絶対助からないだろ!というホラーそのものの冒頭からうってかわっての、主人公マイク(ジョシュ・ハッチャーソン)のドラマがあまりに丁寧。朝の腕立て伏せ、家賃滞納の貼紙、まだ幼い妹のアビー、天井に貼ったネブラスカのポスターと「自然音」の…

非常に残念なオトコ

舞台は現代のバークレー。ステファニ―・シューとロニー・チェン主演のロマコメ(Crazy Rich Asians(2018)のパロディ)に「あれがおれたち!」と盛り上がる「イーストベイ・アジアン・アメリカ映画祭」。主催者の一人であるミコ(アリー・マキ)は帰宅後、…

カラーパープル

アリス・ウォーカーの小説は未読。スピルバーグ版(1985)と同じく映画はセリーとネティの姉妹が手遊びしているのに始まるが(後にネティが言う「まず遊ぼう」…「女の子だって楽しみたい」もんね)、二人が座る木の下をミスター(コールマン・ドミンゴ)らし…

同感 時が交差する初恋

素晴らしいリメイクだった。オリジナルの『リメンバー・ミー』(2000年韓国)が若者達のいわゆるメロドラマといった感もあったのに対し、こちらは男女の役を逆転させた上でヨ・ジング演じる主人公キム・ヨンにほぼ焦点を絞っている(告白した相手の反応も見…

瞳をとじて

「不思議だった、登場人物が父だと言われる、顔や体より声で分かった、電話の声だったから」とは序盤に衝撃的なほどのどアップでアナ・トレント演じるアナが口にするセリフ。エリセの映画は『ミツバチのささやき』で村に映画がやってくるのに始まり、その映…

楽園

マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルのオンライン上映にて観賞。2023年ベルギー、ゼノ・グラトン監督作品。主人公を演じるハリル・ガルビアがオゾンの『苦い涙』と全く違う役であるところが面白い。役者はどんな役でもやれるという意味ではなく、多く…

のら犬

マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルのオンライン上映にて観賞。2022年フランス、ジーン・バプティスト・ドゥランド監督作品。思い通りになるのは飼い犬のマラバールだけ。でも思い通りになる存在なんて必要だろうか、なぜ必要なのか省みなきゃならな…

白日青春 生きてこそ

「難民は盗んだ車を無免許で運転していた」から父さんの過失は問われないと、アンソニー・ウォン演じるチャン・バクヤッ(「白日」)の息子ホン(エンディ・チョウ)は言う。そうするしかないのにそう言われてしまうんだと悲しくなるが、警察官の彼は自分の…