同感 時が交差する初恋


素晴らしいリメイクだった。オリジナルの『リメンバー・ミー』(2000年韓国)が若者達のいわゆるメロドラマといった感もあったのに対し、こちらは男女の役を逆転させた上でヨ・ジング演じる主人公キム・ヨンにほぼ焦点を絞っている(告白した相手の反応も見せない編集が面白い)。それにより、どこをどう1ミリ1グラム切り取っても「韓国」らしい物語の中にちょっとしたカウンターが浮かび上がる。韓国の映画やドラマでお馴染みの「運命」に味方してもらえない者の苦難の道のり。

1999年の工学部において「人間には3種類ある、男、女、それから『工学部の女』」と暴言を吐く男の先輩にクズと吐き捨て、将来の確固たる夢を語るソ・ハンソル(キム・ヘユン)をヨンは好きになる。2022年のキム・ムニ(チョ・イヒョン)に「愛と夢」について問われると「夢は大きすぎるから、愛する彼女にふさわしい男になることを夢にしようかな」。そんなふうに考えていた人間が愛を諦め夢に着手する。このようなかつては女性に課されていた役どころを男性が担い、オリジナルでは主人公は「現代」では一言も喋らなかったのが最後には自ら語る口を持つ。

それまで外のシーンなんて幾らもあったのに、ムニが無線機のある自室から出て行く場面の世界の広がりよ。彼女の幼馴染にして「奇跡」に直接関係のないオ・ヨンジ(ナ・イヌ)が、「私って変だよね?」に返す「それで、その人の名前は何ていうの?」に作中一番ぐっときた。その対応はいわば世界の優しさだから。この、互いに好きながら思いを伝えられない二人の関係の描写も非常に現代らしく見ていて胸がいっぱいになった。終盤の「同感」もテーマである「運命なんて知ったらお先真っ暗」も、物語の肝となる言葉は全て彼の口から出る。映画は「思ったまま」を伝えたムニがその彼=世界と抱き合うのに終わるのだった。