2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

今年を振り返って

▽劇場で見た一般公開作の中からお気に入り10作と思ったけれど、今年はこれというものが少なく10は無理なので、順不同でベスト3。▼幻滅(感想)…文学を映画に生まれ変わらせる時のストレートかつ賢いやり方。ドランの初登場シーンの衝撃。▼探偵マーロウ(感想…

ショーイング・アップ

「A24の知られざる映画たち」にて観賞。来月配信予定とのことで家で見るつもりだったけれど、上映中の『ファースト・カウ』(2019)が面白かったので最新作のこちらも劇場で見てみた。「食べられたくなかったら出しとくなよ」と言ったのはジョン・マガロ演じ…

ハンガー・ゲーム0

Pure as the driven snowをコリオレーナス・スノー(トム・ブライス)の名に掛けて「誰もが清らかに生まれてくるが、そのまま生きていくことはできない」とルーシー・グレイ(レイチェル・ゼグラー)は歌うが、この前日譚は「あの人はなぜあんなことをするの…

ファースト・カウ

思いがけないオープニングの一幕、あれを見つけた彼女(アリア・ショウカット)はなぜつい、一心不乱に土を掘るのだろう、私でもそうするだろう、なぜそうするのだろうと考えた。命あるいはその痕跡が近くにあれば手を伸ばそうとするものなのかもしれない。…

ティル

オープニング、母と息子二人だけの場には幸せが満ちているが旅行の買い物に車を降りる時、外の世界に出る時が近づくと母親メイミー・ティル(ダニエル・デッドワイラー)の顔に不安の影がさす。映画の終わりのスピーチで彼女は「1ヶ月前は南部の黒人の話は他…

枯れ葉

(フィンランド映画祭の先行上映で見た時の感想はこちら)オープニングクレジットはアルマ・ポウスティ、ユッシ・バタネン、アキ・カウリスマキの順。そんなことと思われるかもしれないけれど女としては気になるもので、アキ映画で女性の名前が最初に出るの…

最悪な子どもたち

オープニングは映画出演のオーディション。カメラのこちらの後にベルギー人と分かる年配の男性の声の「映画が複雑だから分かる人じゃないと」に内心わはは!と笑ってしまった(映画の方が実際の人間より「複雑」だと思ってるんだ!)。コメディにできるのに…

映画 窓ぎわのトットちゃん

『窓ぎわのトットちゃん』は元がそうだからなんだろうけど随筆に近く、執筆時(1981年)の黒柳徹子の思いや説明がそれぞれのエピソードに付されている。それをしない映画では作中のトットちゃん(大野りりあな)がその役割を少々担っており、実際には自分が…

Winter boy

運転する父親(クリストフ・オノレ監督演)との会話の最中「今より幸せになってほしい」と願い、帰宅して抱き合った母親(ジュリエット・ビノシュ)の耳元で「まだ若いんだからこれから」とささやく。17歳のリュカ(ポール・キルシェ)の、これは溢れんばか…

MY (K)NIGHT マイ・ナイト

上映前の他の日本映画の予告で「ぼくには夢を見る資格なんてないから…」「ただの女子高生の私を…」と続けて聞いて、そうじゃないと訴えるための布石であろうと全くそういうのが嫌なんだよと思っていたら、この映画にも「ただのおばさんだから」「おれには資…

ショータイム!

ふらりと入ったキャバレーでの第一声「ここは誰にでも安全な場所、お金や仕事のことを忘れてお楽しみください」に次ぐショーに、愛する人に去られ祖父の代からの農場を差し押さえられようとしているダヴィッド(アルバン・イワノフ)は涙を流し自分もそのよ…