2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命

映画は女に始まり女に終わる。オープニング、使用人の女性アンナ・モリージが逢瀬の相手らしきオーストリアの将校を夜に送り出す。私には彼女が何とも生き生きして見え、この作品においては、その行為の根には、近所の雑貨商の「そのままでは赤子は辺獄(リ…

94歳のゲイ

冒頭「勝手に撮るな、ここは西成やぞ!」との映っていない人物からの怒号をよそに、炊き出しのおかゆを立ったまま箸で食べる長谷さんがこちらを見るのを捉えるカメラに、素朴な視点のドキュメンタリーだなという印象を受ける。西成という場所を伝えたいのか…

異人たち

アンドリュー・ヘイの、『ウィークエンド』(2011)は他者の匂いを欲しつつ自分だけの領域だった家に他人を入れる話、『さざなみ』(2015)は長年暮らした家が変わってしまいもう戻れない話、『荒野にて』(2017)はハグしてもらえる居場所を求めて旅をする…

プリシラ

あまりに教科書みたいな映画でびっくりした。やばい男に捕まった子どもの辿る段階が分かりやすく丁寧に描かれている。その中に女がよくよく男からされることが散りばめられている。当たり前だよな根っこは同じなんだからと気付かされる。 出会いのパーティで…

リンダはチキンがたべたい!

キアラ・マルタが主導の共同作品とのことだし、同じ作家でもそりゃあ作品によって違うだろうけど、セバスチャン・ローデンバックの前作『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』の主人公は自慰したり放尿(というのがぴったりくるやり方で)したり過酷な…

アイアンクロー

アメリカによるモスクワオリンピックのボイコット宣言をリビングのテレビで見る一家。四男ケリー(ジェレミー・アレン・ホワイト)の五輪出場の夢は潰える。父フリッツ(ホルト・マッキャラニー)は後に「世界はおれたちの夢を壊しにかかる」と言うが、大き…

石炭の値打ち

1977年にBBCのドラマシリーズ「Play For Today」で二週に渡って放送されたバリー・ハインズ脚本、ケン・ローチ監督作品を、特集上映「サム・フリークス Vol.27」にて観賞。「ケン・ローチ、トニー・ガーネット、また彼らの脚本家たちも、労働党と労働組合が…

パスト ライブス 再会

「移民でカナダに来た時は泣いてばかりだったけどそのうち泣くのをやめた、誰も私に関心なんてないと分かったから」に、冒頭の「24年前」にナヨン(英語名ノラ、長じてグレタ・リー)が泣いていたのはヘソン(長じてユ・テオ)が気にしてくれていたからなの…

成功したオタク

「自分と同じような人が大勢いると知って安心した」とのオ・セヨン監督の言葉にそうか、そういう繋がりって大事だよねと見始める。彼女は自分と同じような人…「推し」に性犯罪者になられてしまった人、変な日本語だな…のことを친구=友達と言う(同じ意味と…