2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

RHEINGOLD ラインゴールド

「ママは父親代わり(Mama war der Mann im Haus)」にはママはママじゃいけないのかと思うけれど、ジワ・ハジャビはカター(長じてエミリオ・サクラヤ)にとっては、フセインの弾圧下では子らに歌を教える先生となり銃を手に戦士となり(と伝え聞く…当時彼…

私が女になった日

イスラーム映画祭にて観賞。2000年イラン、モフセン・アフマルバフ脚本、マルズィエ・メシュキニ監督作品。舟(の帆)、自転車、飛行機と冒頭の乗り物が次第に大きくなっていくオムニバス映画で、最後に同じ日の出来事と分かるけれども、主人公は明らかに繋…

辛口ソースのハンス一丁

イスラーム映画祭にて観賞、2013年ドイツ、ブケット・アラクシュ監督作品。トルコ系移民二世のジャーナリスト、ハティジェ・アキュンの自伝小説が元なんだそうで、映画制作から十年以上経った今、作中の皆、いや著者はどうしているだろうと考えた。作中のハ…

コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話

ジョイ(エリザベス・バンクス)が受ける人工妊娠中絶施術が、20分まるごとではないけれど長尺で丁寧に描かれるのがよい。『17歳の瞳に映る世界』(Never Rarely Sometimes Always)で印象的だった他の女の手はこの時にはなく、ひとり冷たい枠を握り割れた天…

12日の殺人

実話を元にした本作は男ばかりの警察内の部署(女が数名いるのが余計に「男ばかり」と思わせる)に始まる。新班長のヨアン(バスティアン・ブイヨン)が殺人現場で入手した電話に掛けてきたナニー(ポーリン・シリーズ)に被害者の名前を聞いたり訪ねた家で…

春休みの記録

春休みの4日間を釜山にて。船で一泊したいと予約していた関釜フェリーから三日前に運休のお知らせが来たので、応援に乗ってみたかったエアロKで清州へ、そこからKTXで釜山へ。機内で飲んだボナンザコーヒーのエアロブレンドの美味しかったこと。今回の滞在で…

アユニ 私の目、愛しい人

イスラーム映画祭にて観賞、2020年シリア=イギリス、ヤスミーン・フッダ監督作品。アサド政権下に行われている強制失踪を世に訴えるドキュメンタリーで、作中では2011年からの被害者の数が10万人とあったけれど上映後のトークによると現在は15万人を超えて…

ビニールハウス

暗くて何も見えない「いい眺め」の前に座るムンジュン(キム・ソヒョン)の姿に、それまでの積み重ねでその心が伝わってきて、「家」がテーマの韓国映画は数あれど男性の家長が主人公のものが殆どで女性のものは本などでは読むけど映像では見ないな、だから…

俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー

ピーター・ファレリーの新作は、終盤ある人物が言うように「これぞ物語」で面白かった。コメディは、あるいは映画は全てそうなのかもしれないけれど、要素の組み合わせが物を言う。また男達がつるんで女達から逃げる話かと見ていたら(ジョン・シナ演じる物…

ゴールド・ボーイ

丁度見終わったドラマ、コロンボをオマージュした『ポーカー・フェイス』(2023年アメリカ)同様ある殺人から時間を遡る冒頭。終盤まで隠されたある真実はモノローグ(後にある目的のための「日記」と分かる)で予想がつく。東静(松井玲奈)と東厳(江口洋…

リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング

ミュージシャンよりも、リトル・リチャードを知っていた人や当事者などの「ファミリー」、加えて専門家が多数登場してその伝説をクィアネスを踏まえて語り直す内容。「怖がられないようクィア要素を強調するなんて奇妙に聞こえるよね」、後年伝道師に転換し…

地球は優しいウソでまわってる

初めて手掛けたフィクションをいまいち気に入らないエージェントに「今は色んなエスニシティと競わなきゃいけないからね、難民とか癌患者とか」と言われたベス(ジュリア・ルイス=ドレイファス)が妹サラ(ミカエラ・ワトキンス)と共に母を訪ねての席で「う…

FEAST 狂宴

フィリピンの日常を収めたドキュメンタリーのような冒頭の映像ではのんびりしていた音楽が事故が起きるや悲劇的なものに変わるのに、一瞬の不注意で多くの人生が変わってしまうことを訴える運転者向けの講習ビデオを見ているような気持ちになるが、次第に奇…