2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

イニシェリン島の精霊

「悲しい本を読むと悲しくなる(から読まない)」と言っていたパードリック(コリン・ファレル)は結局、妹シボーン(ケリー・コンドン)が残していった本ではなく火の方を手にしてしまう。これは悲しい本を読んで悲しい人を思うことができない人々の悲劇だ…

私たち

マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルのオンライン上映にて観賞、2021年アリス・ディオップ脚本監督作品。パリを南北に走るRERのB線沿いの「郊外」に暮らす人々を収めたドキュメンタリーで、監督の身内が映っていることにより身内が映っていなくともホ…

揺れるとき

マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルのオンライン上映にて観賞、2021年サミュエル・タイス脚本監督作品。国境の町フォルバックの団地に暮らすジョニー(アリオシャ・レネール)の10歳のひとときを描く。「ロレーヌ地方のドイツ語」と二言語を使える彼…

パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女

カーアクションについては、冒頭の、ジャッキー映画も思い出させる長丁場の一幕からしてさほどすごいとは思わなかったけれど(去年『モガディシュ』や同じ釜山が舞台の『ハード・ヒット 発信制限』見ちゃってるしね、カーアクションはこれらの方がずっと上)…

母の聖戦

原題は『市民』、これが的確。タバコを吸わざるを得なくなった、そして今も吸っている女性がふと救われる(「何」によってかは何とも言えない)あのラストシーンは、映画が終わって出る「シエロのモデルになった女性達に捧ぐ」に繋がっている、つまり彼女達…

世界は僕らに気づかない

オープニング、純悟(堀家一希)とレイナ(ガウ)が暮らす家にあふれる小物の数々につき、フィリピンのなんだろうなというものから金鯱の置物など母親のお客絡みなんだろうなというものまで彼らの家にあるだろう物を調べて揃えたんだと思い、そこでぐっとき…

そんなの気にしない

マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルのオンライン上映にて観賞、2021年エマニュエル・マール、ジュリー・ルクストル脚本監督作品。格安航空会社の客室乗務員の仕事の、映画であまり見ることのない部分も詳細に見せることで、その仕事そのものじゃなく…

ブートレッガー 密売人

マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルのオンライン上映にて観賞、2021年キャロライン・モネ脚本監督作品。国が同化・支配政策の一端として先住民に敷いた禁酒法とそれゆえ横行する密輸入につき、出て行き戻ったマニ(デヴァリー・ジェイコブス)が「勝…

ノーマ・レイ

「ステーキを平らげて3回もセックスしたのに何が不満なんだ」とモーテルで言われたノーマ・レイ(サリー・フィールド)いわく「気持ちがしっくりこない」。嫌だ、変だと思うがそれが何なのか言葉にできない。似たような感覚は10代の頃に覚えがある、女友達と…

ドリーム・ホース

近年の映画の馬といえば『荒野にて』『アメリカから来た少女』のように若い主人公に寄り添った視点で見ることが多かったから、本作のように「あなたはそのために生まれてきた」(!)と語り掛けながら、「何も求めない、与えるだけ」の存在と分かっていなが…

ペルシャン・レッスン 戦場の教室

強制連行される荷台でジル(ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート)がサンドイッチを隣り合わせた男の盗んできたペルシャ語の本と交換するオープニング、相手の「戦時中には何でもありだ」とは「汝、盗むなかれ」に対する言葉だが確かにそうだと思っていたら、…

Pachinko パチンコ

Apple TV+で無料配信中にS1E8(現在の最新話)まで観賞。当事者の参加が進んでいる点も含め、これまで韓国のドラマや映画で少しずつ描かれてきた日帝強占期や在日朝鮮人といった要素の現在での集大成にしてこれぞ映像化!という感じを受けた。小説『パチンコ…

正直政治家 チュ・サンスク

のむコレにて観賞、2020年韓国制作、チャン・ユジョン監督作品。「言葉が頭の中じゃなく腹の奥から出てきちゃう」「うんこじゃあるまいし」「そんな感じ、括約筋が使えなくなって」との説明で「嘘がつけない」状態を説明するあたり安定の韓国作品。ナ・ムニ…

年始の記録

あけましておめでとうございます。いつものおせち。 年越しケーキのマーサービスのストロベリーピスタチオシフォンケーキに、元日ケーキのトリアノンのフレーズトルテ。 今年の初アイスのヴェンキのジェラートに、プレミアムマリオジェラテリアの「うぐいす…