2025-08-01から1ヶ月間の記事一覧

壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記

2024年7月に取材開始。私自身が出掛けているかのようなiPhoneによる映像の臨場感がすごいと思っていたら、タクシーの運転手に、ヘブロンの旧市街の商店主に、壁が出来てからの変化などを聞く際の移動の映像に酔ってしまい、第一章「壁の外側」の間は殆ど目を…

週末&平日の記録

8月最後の土曜日、登戸研究所資料館の「風船爆弾作戦と本土決戦準備 女の子たちの戦争」展に滑り込み。同居人がこのころ焼夷爆弾を作っていた私の祖母のことを思ってくれ足を運んだんだけど、新潟から上京した祖母がとにかく寒かったと霜柱の話ばかりしてい…

愛はステロイド

『ミッション : インポッシブル ファイナル・レコニング』では登場するや観客(私)を魅了したケイティ・オブライアンだけど、こちらでは彼女演じるジャッキーはルー(クリステン・スチュワート)を一目で虜にする。「筋金入りのレズビアン」と言われるルー…

大統領暗殺裁判 16日間の真実

チョン・インフ(チョ・ジョンソク)のパク・テジュ(イ・ソンギュン)への「どうせ歴史に名前が残るのはキム部長だけ(なんだから方便で自分の命を守れ)」と『ハルビン』(2024)でのキム・サンヒョン(チョン・ウジン)のウ・ドクスン(パク・ジョンミン…

スムース・トーク

「インディペンデント・ガールズの肖像」にて観賞、1985年イギリス・アメリカ、ジョイス・チョプラ監督作品。ジョイス・キャロル・オーツがボブ・ディランのIt's All Over Now, Baby Blueに触発されて書いたという『どこへ行くの、どこへ行ってたの?』を原…

マルティネス

職場の同僚が柑橘類を剥いてほとばしる果汁とおそらく匂い、人事の女性の身内の不幸による欠勤、全てが当初のマルティネス(フランシスコ・レジェス)には不快なノイズである。しかしそれらこそが生のしるしであり、大きなテレビの音は隣人が死ぬ間際に放っ…

国宝

色々なことが次々と流れていくなか入り込める瞬間は皆無だったけれど、田中泯を見るだけで映画料金の元は取れた。彼演じる万菊の俊介(横浜流星)への「若い娘になりきってたら…」には、歌舞伎ってやっぱり薄気味悪いなと私に思わせない説得力がある(対して…

臆病者

「サタジット・レイ レトロスペクティブ2025」にてデジタルリマスター版を観賞、1965年作品。茶園の経営者ビマールによれば「信じられないだろうが年に一人は遭遇する」困ったベンガル人の一人だが他にない一人であるアミ(ショウミットロ・チャタルジ)の長…

あの夏、僕たちが好きだったソナへ

リメイク元のギデンズ・コー『あの頃、君を追いかけた』(2011年台湾)の細部は覚えていないけれど、主人公の男女が結婚するわけではない結婚式、の内実があんなふうである上に男同士のキスを作中ずっとあんなふうに扱う時点で本作は、いやいや今年は『ラブ…

The Summer あの夏

2000年頃の忠清道のとある高校。「アクシデントで眼鏡を壊される」オープニングから早々に、「女」が「女」を好きになること、そういう「レズビアン」は差別されること、同じレズビアン同士の間にも(差別されるがゆえに)齟齬が生じることが描かれる。原作…

ビッグ・シティ

「サタジット・レイ レトロスペクティブ2025」にてデジタルリマスター版を観賞、1963年作品。アロティ(マドビ・ムカージー)の義父の「知性の種を蒔いたのは教師である自分なのに彼らは出世し私には職もない」との嘆きには、1920年代が舞台の『音楽サロン』…

アイム・スティル・ヒア

映画はレブロンの海に一人漂うエウニセ(フェルナンダ・トーレス)が上空の軍のヘリコプターの音に緊張したあと浜辺の子ども達の声にそれを緩めるのに始まるが(全編通じてフェルナンダ・トーレスのこうした表情の変化が雄弁で見事)、後に彼女達、いや人々…

夏休みの記録

8月頭にオープンしたオクドンシクへ。お店の雰囲気はよくデジコムタンは超美味、日本限定メニューのデジトッパプも食べたことのない味だった。これも初めてのNERD Breweryのマッコリの口当たりも好み。売り切れだった話題のバジルマッコリのためにまた行くか…

基礎訓練/パナマ運河地帯

早稲田松竹のフレデリック・ワイズマン特集にて、見逃していた二作を観賞。 志願兵が「犯罪者」であるかのように体のサイズを測られ髪を刈られ指紋を取られるのに始まる『基礎訓練』(1971)で、何度か出てくる懲罰房との言葉に既に懲罰を受けているようなも…

旅行の記録その2

両親との滋賀旅行では、母のリクエストでラ コリーナ近江八幡へ。バームファクトリーカフェの焼きたてバームクーヘンのふわふわなこと、バームコーヒーの味の合うことに全員感動。お土産には可愛いポーチやすてきな手拭い、バームクーヘンminiの「耳」の詰め…

旅行の記録その1

帰省がてら豊橋に立ち寄って市電に乗る。1日フリー乗車券でちょこちょこ降りては公会堂を見たり、行ってみたかったヤマサちくわ本店で手筒竹輪(ちくわの詰め合わせ、写真は中身を冷蔵庫に移した後)やすいか新上を買ったり。お昼は玉川うどんで豊橋カレーう…

よみがえる声

『オマージュ』(2021年韓国)を一瞬思い出す、映像機器を前にした二世代の女の横並びのショットでの「木鉢寮って何ですか」(朴麻衣監督)「だから…!」(朴壽南監督)のやりとりに、当たり前だと言われそうだけど、母と娘は違う人間なんだと思う。みな違う…

入国審査

近くの読書中の男性は「三章ぶん」、エレナ(ブルーナ・クッシ)が解釈するに三時間は待たされている尋問のための待合室…と呼ぶのもしっくりこないそこは水も食べ物もない非人間的な場所だ。二人のうち彼女だけが一旦密室から解放される時の女性審査官(ロー…

KNEECAP ニーキャップ

予告編の冒頭の「ベルファストの映画の始まりはどれも…」(舞台自体は別の土地だけど『プロフェッショナル(2024/原題In the Land of Saints and Sinners)』なんてまさにそうだったよね、いい映画だった)は映画そのもののオープニングだったのか、からの…