2026-03-01から1ヶ月間の記事一覧
ジェシカ(バベット・ヴェルベーク)が診察してくれた看護師に抱きつく姿に、自分の中に命があるのに一時間も静かな時、心音が速い時、どれだけ心細くなるだろうと思う。そうした実感のこもった一場面、一個人といったいわば「点」の周囲が次第に広がり世界…
全員が手話を使いながら遊んだり宿題したりしている子ども達。その中の一人、ジーソンが「学校はつまらない」と言う理由が程なく分かる。読話と口話の強制で勉強する権利を奪われていたろう者の彼が長じてノートの取り方…勉強の仕方がうまくないのはそのため…
車の後ろの窓に貼った「団結闘争」の文字を剥がして一人、停まっている他の車の間を抜けて新居のドゥリムパレスへ向かうヘジョン(キム・ソニョン)。労働災害で夫を亡くした彼女は真相究明を求める遺族会でのストライキや人間関係、真相が分からないこと自…
所用で小淵沢へ。八ヶ岳を見ながら食べた「高原野菜とカツの弁当」、これまでの駅弁の中で一番ってくらい美味しかった。冷たいカツにご飯に野菜…芋の茎や山ごぼう、コーンの一粒まで。初めて見る汽車土瓶も買えた。東京に来たお店。 浜町公園近くにオープン…
ミルトン(ベン・キングズレー)がせっせと足を運ぶ町議会では、町民に対し行政側は「返答しません」。友人サンディー(ハリエット・サンソム・ハリス)などは話し合いを諦め「報告」しているが、物忘れの始まった彼は毎日同じ発言をし、議員らはそのことに…
『しあわせな選択』(原題直訳「仕方がない」、感想)で最も鮮烈だったのは主人公マンスが「一人生き残った」場面だが、本作のドクシャ(アン・ヒョソプ)が失望した小説のラストはあれと同じだろう。彼はいじめの加害者にもう一人の被害者と闘うよう言われ…
日本モンゴル映画祭にて観賞、2020年モンゴル、ビャンバ・サヒャ脚本監督作品。元になったというグンアージャビーン・アヨルザナの小説はいつ頃のものだろう。主人公の青年(名前はなく役名はBedridden、バトトルガ・ガンバト)になぜ自分を殴らなくなったの…
土曜日、お彼岸のお墓参りがてらの花見には、同居人が作ってくれた卵焼き入りキンパと市販のエクレアにプリンと苺を挟んでもらったデザート。おやつは帰りにアベベベーカリーの通りすがりに買ったドバイチョコピスタチオクリームパンとよもぎクリームパン。…
映画は石炭売りのベン(キリアン・マーフィー)が事務所から曇ったガラスの外へ出て仲間と合流するのに始まる。昨夜のテレビ番組についての他愛ない会話、気のいい女主人が盛り付けてくれる昼食。しかし馴染みの配達先の修道院に母と同じ名前の少女サラ(ザ…
日本モンゴル映画祭にて観賞、2025年モンゴル、バトデルゲル・ビャンバスレン監督作品。1999年に結成されたヒップホップグループTATARの成功までを実話を元に描く。民主化後に移動できるようになり人々が殺到したウランバートル郊外の話なので、前日見た『狼…
日本モンゴル映画祭にて観賞、2024年モンゴル・ドイツ・オーストラリア。監督のガブリエル・ブレイディはこちらのページによると気候変動による変容をテーマにしているそうなので、砂嵐を中心としたこの映画を作ったのだろうか。「ハイブリッド・ドキュメン…
ヨアヒム・A・ラング監督の同年作『ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男』(2024年ドイツ・スロバキア)は登場人物のセリフは入念な調査の上で書かれたとの断り書きに始まっていたが、やはり実在の人物を扱ったこちらの言葉の数々はどうだろうと見てい…
引っ越ししたての部屋からの娘ヨンス(ハ・ユンギョン)の通話にトイレの中やドアの外も見せるよう母親ギョンア(キム・ジョンヨン)が言う冒頭の一幕は、ヨンスの勤務校のミーティングでの男性教員の「(妊娠検査薬が見つかったことにつき)最近の女子生徒…
偽の求人広告宛ての履歴書を取りに行ったユ・マンス(イ・ビョンホン)の声が応募者のク・ボムモ(イ・ソンミン)の声にシームレスに繋がることで、二人の顔が幾度も重なることで分かるように、マンスはライバルゆえに殺さねばならないボムモと自身を即座に…
一日中雨上がりの道へバスを降りた看護師フロリア(レオニー・ベネシュ)は、ロッカールームで同僚と休みはどうだったか会話を交わし、帰りにはある事件によって汚れてしまうがあえてそのまましまいこまれる新しいスニーカーを履く。患者を乗せたベッドを手…
十年、もっと前だったろうか、難民や移民にとりスマホがライフラインであることが繰り返し映画に描かれた時代があったが、本作には移住して職を得た者にとってもそうであることが描かれている。オーロラ(ジョアナ・サントス)の休憩時間の幾つものスティッ…
獄中手記『何が私をこうさせたか』の肝である…尤も全てが肝だが…全てを奪われ死んだ方が楽だと川に向かうも「(何のために死んだかにつき)どんな嘘を言われてももう『そうではありません』と言いひらきをすることはできない」「私と同じように苦しめられて…
コミュニティシネマフェスティバル「日韓映画館の旅」にて観賞、2024年オ・ジョンミン監督作品。「韓国の女性が座る時に膝を立てるのは秋夕などの準備で日がな座っていても腰を痛めないよう」との文を昔、韓国語の教材で読んだのを、真偽はともかく皆でお供…
コミュニティシネマフェスティバル「日韓映画館の旅」にて観賞、2022年イ・ジェウン、イム・ジソン監督作品。ここ数年は感じないけれど、いやそれこそこの映画が作られた数年前までは感じていたけれど、韓国映画には「純粋だった男子が汚れてしまう」悲劇を…
コミュニティシネマフェスティバル「日韓映画館の旅」にて観賞、2023年キム・ミヨン監督作品。繁盛店でちゃっちゃと食事を済ませ鏡の汚れた車でスタジオへ帰るユンチョル(パク・ジョンファン)を追うカメラは、並行する道へと離れ少し行ったところで振り返…
シヴァ(ユダヤ教の服喪儀式)に出席した女子大学生の午後を描いたエマ・セリグマン2020年の長編デビュー作。「コメディ」ながらこんなにも物を食べる描写がしんどい映画ってない。会場に着いたダニエル(レイチェル・セノット)は並べられた料理を皿に盛る…