2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ワース 命の値段

予告にも使われている場面で主人公ケン(マイケル・キートン)は列車内でヘッドフォンをしているため起きていることに気付くのが遅れるが、彼は弁護士としてよかれと思い「心安らぐ」音楽でもって外部…他者の感情を遮断している。ゆえに家では犬に心配され、…

映画はアリスから始まった

国立映画アーカイブ「フランス映画を作った女性監督たち 放浪と抵抗の軌跡」での作品集やシネマヴェーラ渋谷「アメリカ映画史上の女性先駆者たち」での短編集の上映を大いに楽しんだ後の2023年、ようやく2018年製作のこのドキュメンタリーを見ることができた…

ファーティマの詩

イスラーム映画祭にて観賞、2015年フランス=カナダ製作、フィリップ・フォコン監督。「アルジェリアで勉強し続けていれば大臣になれた」ファーティマと彼女が清掃の仕事をして育てている娘達、フランス郊外の団地に暮らす女三人の限界寸前の日々を描く。カ…

わたしはバンドゥビ

イスラーム映画祭にて観賞、2009年韓国製作、シン・ドンイル監督。バングラデシュからの出稼ぎ青年と出会った女子高校生の心の変化を描く。故郷に美しいという海への道中、車のシートベルトを外して風を感じる映画お馴染みの状況(だけど体までは出さない)…

午後の五時

イスラーム映画祭にて観賞、2003年イラン=フランス製作、サミラ・アフマルバフ監督。タリバン政権が一時崩壊し映画製作が可能となったアフガニスタンを舞台に、現地の女性によって演じられる、混乱の中に生きる一人の若い女性の姿を描く。ラストカットにほ…

マリアムと犬ども

イスラーム映画祭にて観賞、2017年チュニジア=フランス他製作、カウサル・ビン・ハーニャ監督。チュニジア革命後の2012年に起きた警察による性暴行事件に着想を得て製作された作品。章ごとワンカットの9章という作りが、その中身が演劇的なことと相まって効…

別れる決心

ヘジュン(パク・ヘイル)はソレ(タン・ウェイ)の「ついに」を聞き咎め「私より韓国語がうまいですね」と皮肉を言い、「絶命」は違うと感じた彼女の「間違えた言葉を口にすると笑ってしまう」につられて笑って謝罪をし、「単一」なんて言葉遣いを面白く感…

呪呪呪 死者をあやつるもの

ドラマ『謗法 運命を変える方法』の劇場版。杖から映るチョン・ソンジュン チーム長(チョン・ムンソン)の「事件がまた…」に続いてテーマ曲とオープニングタイトル、新たな場で活躍している主役イム・ジニ(オム・ジウォン)の登場、元気だったのかと嬉しく…

コンパートメント No.6

「女が旅先で愛する女の嫌な部分に気付き、致し方なく同室になったいわばマッチョな男に惹かれていく」という冒頭で読めるストーリーに疑問を抱きつつ見ていたら、「売春しに来たの?」などという、そのストーリーになぜ入れたのかと思う男のセリフに不愉快…

すべてうまくいきますように

映画の始め数秒にだけ存在した「日常」が、電話を受けて以降ラストシーンまで失われる。「動けなくなった」父親に娘が振り回される話である。振り回されて飛び回っているのに、いやそれゆえ運動で体を動かさずにはいられなくなるのが面白い。父親が終盤「小…

ザ・パーソナルズ 黄昏のロマンス/予備選挙

「アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション」にて短編二本立てを観賞。▼『ザ・パーソナルズ 黄昏のロマンス』は伊比恵子監督・編集の1998年製作作品。ロウアーイーストサイドのユダヤ人コミュニティセンターの演劇クラスの活動を追ったドキュメン…

ピンク・クラウド

群像劇だと思い込んでいたのが、見てみたら「インドの結婚」をしたジョヴァナ(ヘナタ・ジ・レリス)とヤーゴ(エドゥアルド・メンドンサ)という一組の男女の話だった。もうちょっと踏み込むなら、生身の人間と人間がいれば、オンラインではそうはなかなか…