2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ぼくたちの哲学教室

ドキュメンタリーの舞台はベルファストのホーリークロス男子小学校。冒頭の登校時の光景で女性の教員が校内に入る時はフードを取るよう指導しているのを思えば何故だろうと見ていたんだけど、作中挿入されるちょっとした屋外の映像から、フードとはまず雨や…

aftersun/アフターサン

「ママとの電話で、どうして愛してるって言うの?」 「おばあちゃんやおじいちゃんには言うよね?」 「それは家族だから…」(以下少々「ネタバレ」しています)「11歳の誕生日」が存在しなかったことに憤慨した女性とは「別れた」けれど、今日、娘が同じ…似…

ソフト/クワイエット

6人の女が家を出る段になってふと、集団が形成され攻撃が行われ大騒ぎの末にこんなことになったけれど、世の被害者にしてみれば突然蹴られたり殴られたり殺されたり(あるいは「助かったり」)するわけで、この映画はその「間」を浮かび上がらせているんだな…

最後まで行く

こんなに力の入ったリメイク、見たことない。オリジナル(2014年韓国、キム・ソンフン監督)では部署の皆で仲良く悪事を働いていたのがこちらの工藤(岡田准一)はヤクザからの裏金を一人で受け取っているのに始まり誰が死んだんだっけ程度のキャラクターだ…

同じ下着を着るふたりの女

始めは昨年読んだ『母親になって後悔してる』を思い出しながら見ていた。あの本にこのスギョン(ヤン・マルボク)のような女性が出てきたわけでは全くないが、お腹を切った跡を意識している描写などからして、ここから出たのがこれ、といったような違和感を…

TAR ター

冒頭、ベルリンの自宅に帰ったター(ケイト・ブランシェット)はパートナーであるシャロン(ニーナ・ホス)の心拍数を薬と音楽とダンスで落ち着かせてベッドに入り、「移民」である娘ペトラがいじめられていることを聞き出し学校へ送って対処する。全てをコ…

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像

公立学校、1980年のニューヨーク、クイーンズ、これからはorderに従うようにとの6年生の初授業で皆を笑わせたい、二人なら反抗できると仲良くなったポール(バンクス・レペタ)とジョニー(ジェイリン・ウェッブ)だが、ターケルトーブ先生の「背中にも目が…

MEMORY メモリー

少女が(後に砂漠のそれと分かる)絵を描いているのは父親に子どもらしく見せるよう言われているのかどうなのか判断しかねていたら、ただ描きたくて描いているのだった。その絵に標的が子どもだと知り衝撃を受けうなされる殺し屋アレックス(リーアム・ニー…

ウィ、シェフ!

映画が始まると暗い画面に波の音と風に布がはためく音、人によって脳裏に浮かぶものが違うはずだと思っていたら。話は「カティ・マリー」(オドレイ・ラミー)がレストランの設計図を脇に四苦八苦しているのに始まる。理想の場を「箱」から作ろうとしていた…

それでも私は生きていく

映画はサンドラ(レア・セドゥ)が大きく分厚い扉の向こうに一人暮らすゲオルグ(パスカル・グレゴリー)を訪ねるのに始まる。レイラ(フェイリア・ドゥリバ)から連絡があるかもと電話を手放さない父と、クレマン(メルヴィル・プポー)が何か言ってこない…

帰れない山

原作未読。「木のように自分を待っていてくれる友達ができるとは思わなかった」というオープニングに、人が人を待っているだなんてという不穏な気持ちと、いつの時にいつの時を振り返っているんだろうという疑問を抱きつつ見始め、それに囚われたまま見終わ…

キアラ

イタリア映画祭にて観賞、2022年イタリア・ベルギー、スザンナ・ニッキャレッリ監督作品。2020年の『ミス・マルクス』に続く伝記もの(その前作は未見)で、「女性の修道会のための会則を書いた最初の修道女」聖キアラの物語。「お前はわたしのものだ」と連…