映画
複数の登場人物が交差する映画は幾らもあるが、同じ社会…同じ街にいるなら繋がっていて当たり前という感覚を覚えるこのような映画は希少だ。姪のテクラが残した住所の建物を訪れ「彼女はこれを望んだのか」と動揺するリア(ムジア・アラブリ)に「選択肢がな…
(少々「ネタバレ」しています)「その唇を閉じて黙ってくれ、ぼくが君のけがれのない体を味わえるように…」というくそみたいな詩に洗脳されている王国では、書き手の王子との結婚が「女の夢」。しかしこの映画に出てくる、互いに楽しんでセックスしているカ…
サム・フリークス Vol.33にてアメリカン・ロマンティック・コメディ2本立てを観賞。 ▼『フレンズ・ウィズ・キッズ』(2012年ジェニファー・ウェストフェルト脚本監督)は世界一有名なセリフ「寝る前に最後に話したいのはきみ」ならぬ起き抜けに面倒な話をし…
ジュニ(チャン・ソンボム)が異動初日に次長のドンウ(ソ・ソッキュ)に言われるには「既に皆、給料は五パーセントカットされた上に休日出勤にも残業にも手当は出ない、もう痛みを分け合える段階じゃないんだ」。誰かに痛みを引き受けさせるための解雇基準…
台湾の山村で小さな農場を営むフイジュン(エスター・リウ)が、上海の兄の元から黙ってやってきた15歳の姪シンルー(タン・ヨンシュイ)に「タクシーの運転手さん、よくここが分かったね」と言うと「座標で大丈夫」。今ってなんて、何というか均等なんだと…
早稲田松竹にて「オスロ、3つの愛の風景」と題された三部作(いずれも2024年ノルウェー作品)を一気に観賞。「人は話す相手によって形作られると言う、彼女が今日話すのはどんな人だ」「世界を狭める人だ」。『SEX』の煙突掃除人が帰宅後、友人らと会ってき…
冒頭、セックスワーカーらしき主人公が後側位で挿入している最中に「仰向けになって」と相手を誘うのに、キスされたり抱きつかれたりするのになぜ、と思っていたら彼はそれを普通にこなす。外に出てから唾を吐く姿は全てが嫌だったようにも見えて何だかよく…
「未体験ゾーンの映画たち」で観賞、2025年韓国、イ・ジョンソク監督作品。童話作家志望のダンビ(パク・ジヒョン)がやむを得ず書き始めた官能ウェブ小説で才能を開花させていくコメディ。公務員としてそうと知らず配属された先がウェブ上の違法ポルノ検閲…
「おれは禁酒して12年と4ヶ月、29日目だ」。島の集まりを抜け出してのやりとりで、依存症患者としての生活には終わりがないことが分かる。『システム・クラッシャー』(2019)も『消えない罪』(2021)も本作も、ノラ・フィングシャイト監督の映画は舞台がど…
「耳が聞こえないのは世界中でぼくだけ」と思っていたラワンがイギリス手話という言葉を得て自由になり成長し、「ぼくが国外退去になっても(ろう学校の)友だちは残る、だから行くんだ」とイギリス手話法案集会に出向くまでになる。7歳まで誰ともコミュニケ…
中央アジア今昔映画祭にて観賞、2018年ウズベキスタン、ウミド・ハムダモフ脚本監督作品。出稼ぎ中の恋しい母親と町で暮らせると思いきや田舎の家に連れて来られたズリフィヤは作中ほぼずっと怒っている。怒っている女の子の出てくる映画はいまだ少ないから…
中央アジア今昔映画祭にて観賞、1975年ソ連、「ソ連時代から現代まで中央アジアの女性監督としてもっとも長く活動した」(映画祭のリーフレットより)カマラ・カマロワ監督作品。主人公ナルギズの親友ラリの祖母が「古い木は植え替えられない、枯れてしまう…
「ネリーに気をつけろ! ネリー・カプラン レトロスペクティヴ」にて観賞、1971年作品(上映中の他の三作の感想はこちら)。オープニング、嬉しげな男に運転させたオープンカーに立ち身に付けているものを一つずつ、つけ睫毛まで取り白い靴だけになるクッキ…
▽劇場で見た一般公開作の中からお気に入り10作を見た順に。▼ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻 (感想)▼リボルバー (感想)▼Four Daughters フォー・ドーターズ (感想)▼FEMME フェム (感想)▼ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今 …
「ネリーに気をつけろ! ネリー・カプラン レトロスペクティヴ」にて三本を続けて観賞(上映作品のうち『パパ・プティ・バトー』のみ持ち越し)。「どうして今まで旅に出なかったんだろう」 「相続しなかったからさ」『海賊のフィアンセ』(1969)と『シャル…
カンヌ監督週間 in tokioにて観賞、2025年アメリカ、エヴァ・ヴィクター監督作品。帰宅しての第一声「ズボンが裂けた」の、映画のセリフとしての適切さ。私ならあの言葉を出せるかなと思うけど、あそこはあれしかない。この映画は全てが適切だ。アグネス(エ…
中央アジア今昔映画祭にて観賞、2020年ウズベキスタン、ヨルキン・トゥイチエフ監督作品。1920年代のウズベキスタン山間部。登場時、写真かと思ったくらい微動だにせず家の中央に立っている二番目の妻ロビ(私にはこの映画の主人公)が後に四番目の妻ファリ…
カンヌ監督週間 in tokioにて観賞、2025年ドイツ、クリスチャン・ペッツォルト監督作品。保護者・被保護者の関係にある(ように見える年齢差のある)女同士による自転車の二人乗りが、『東ベルリンから来た女』(2012)では物語を終わらせるのがこちらでは決…
1968年のチェコスロバキア。学生と軍の衝突についての嘘の報道に光州民主化運動を思いながら見始めるが、国のニュースを信じるなと語ったラジオ局の国際報道部に当の学生から抗議の手紙がたくさん来るも実際に出向いて話を聞き筆跡を調べると(このカットが…
カンヌ監督週間 in Tokioにて観賞、2025年フランス、ルイーズ・エモン監督作品。1899年、雪深い山奥の村に教師として派遣された若い女性エメ(ガラテア・ベルージ)。「フランス語」を教えるのに牛の鳴き声は…と始めても地元の言葉(パトワ)では表現が異な…
オープニング、ダムの脇の道を、山道をスローモーションで歩むアンジー(パトラ・アウ)とパット(マギー・リー)はどこかに着いてしまわないよう願っているようだ。エンディング、その道中の、すなわち人生のどこかの、最高のキスを含む幸せな場面は、この…
カンヌ監督週間 in Tokioにて観賞、2025年イラク・アメリカ・カタール、ハサン・ハディ監督作品。1990年、サダム・フセイン独裁政権下のイラク。作中の、アメリカの爆弾による被害者であふれる病院の医師や看護師は患者のために働いている(そして女性の医者…
転校してきた人気俳優のソル(ハン・ソヒ)と俳優志望のスアン(ハン・ヘイン)の、学校を離れた二人の時間。海辺でカメラを回すも演技だと分からず心配して止めてしまう。「運転免許ないよ」「運転できればいい」、「それなら明洞」「今どき明洞なんて誰も…
高い門に強面の警備員、壁の外までは届く「ファシストに負けない」との声を締め出し自らを社会から隔離している学校が開かれていく話である(ただし1976年のアルゼンチンにおける名門寄宿学校という舞台の特殊性は私には分からない)。まず壊されるのは、英…
イスラエルの攻撃下にあるガザに暮らす24歳のフォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナとのビデオ通話を世界に送るドキュメンタリー。当初「パレスチナ人としてここにいるのを誇らしく思う」と話していたのが「本当の牢獄」の中で破壊されてゆき、それで…
冒頭のろう学校の授業での聴者の先生(小野花梨)の音声言語での「怒っちゃうぞー」「犯人だーれだ」はあり得なすぎる(その内容は勿論、どんな生徒の前でも極力背中は向けないものなのに)。子どもの不和は教員の、ひいては大人のせいだと言っている場面だ…
難民映画祭のオンライン上映にて観賞。原題Khartoum、2024年ドイツ・イギリス・スーダン・カタール、Anas Saeed、Rawia Alhag、Ibrahim Snoopy、Timeea Mohamed Ahmed、Phil Cox 監督作品。2022年、制作チームは30年の独裁政権を倒した後の「可能性に満ちて…
「部屋を丸く掃くやつなんですよ、女としてレベルが低いんです」と吐き出す依頼者(白ベルトにセカンドバッグの中島歩)が帰った後のサチ(岸井ゆきの)と弁護士の同僚の「どうして結婚するんですかね、離婚するのに」的なやりとりに、なぜ誰もが平等にでき…
東京フィルメックスにて観賞、2025年オランダ・フランス・スペイン・韓国・シンガポール、タン・スーヨウ監督作品。級長を決める手書きの投票用紙を教室のゴミ箱に捨てるものだろうか。私が担任なら処分するにしても一旦もらって持ち帰る(あんな学校には私…
難民映画祭のオンライン上映にて観賞。原題Another Place、2024年アメリカ、ジゼット・パノシアン監督作品。1990年に6歳でイランからアメリカへ避難した監督が、30年後にギリシャで参加し始めた支援活動の繋がりから自国を離れた若者3人の今(2021年~2023年…