映画

苦い果実

中央アジア今昔映画祭にて観賞、1975年ソ連、「ソ連時代から現代まで中央アジアの女性監督としてもっとも長く活動した」(映画祭のリーフレットより)カマラ・カマロワ監督作品。主人公ナルギズの親友ラリの祖母が「古い木は植え替えられない、枯れてしまう…

パパ・プティ・バトー

「ネリーに気をつけろ! ネリー・カプラン レトロスペクティヴ」にて観賞、1971年作品(上映中の他の三作の感想はこちら)。オープニング、嬉しげな男に運転させたオープンカーに立ち身に付けているものを一つずつ、つけ睫毛まで取り白い靴だけになるクッキ…

今年を振り返って

▽劇場で見た一般公開作の中からお気に入り10作を見た順に。▼ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻 (感想)▼リボルバー (感想)▼Four Daughters フォー・ドーターズ (感想)▼FEMME フェム (感想)▼ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今 …

海賊のフィアンセ/シャルルとリュシー/愛の喜びは

「ネリーに気をつけろ! ネリー・カプラン レトロスペクティヴ」にて三本を続けて観賞(上映作品のうち『パパ・プティ・バトー』のみ持ち越し)。「どうして今まで旅に出なかったんだろう」 「相続しなかったからさ」『海賊のフィアンセ』(1969)と『シャル…

ソーリー、ベイビー

カンヌ監督週間 in tokioにて観賞、2025年アメリカ、エヴァ・ヴィクター監督作品。帰宅しての第一声「ズボンが裂けた」の、映画のセリフとしての適切さ。私ならあの言葉を出せるかなと思うけど、あそこはあれしかない。この映画は全てが適切だ。アグネス(エ…

ファリダの二千の歌

中央アジア今昔映画祭にて観賞、2020年ウズベキスタン、ヨルキン・トゥイチエフ監督作品。1920年代のウズベキスタン山間部。登場時、写真かと思ったくらい微動だにせず家の中央に立っている二番目の妻ロビ(私にはこの映画の主人公)が後に四番目の妻ファリ…

ミラーズ No.3

カンヌ監督週間 in tokioにて観賞、2025年ドイツ、クリスチャン・ペッツォルト監督作品。保護者・被保護者の関係にある(ように見える年齢差のある)女同士による自転車の二人乗りが、『東ベルリンから来た女』(2012)では物語を終わらせるのがこちらでは決…

プラハの春 不屈のラジオ報道

1968年のチェコスロバキア。学生と軍の衝突についての嘘の報道に光州民主化運動を思いながら見始めるが、国のニュースを信じるなと語ったラジオ局の国際報道部に当の学生から抗議の手紙がたくさん来るも実際に出向いて話を聞き筆跡を調べると(このカットが…

ガール・イン・ザ・スノウ

カンヌ監督週間 in Tokioにて観賞、2025年フランス、ルイーズ・エモン監督作品。1899年、雪深い山奥の村に教師として派遣された若い女性エメ(ガラテア・ベルージ)。「フランス語」を教えるのに牛の鳴き声は…と始めても地元の言葉(パトワ)では表現が異な…

これからの私たち All Shall Be Well

オープニング、ダムの脇の道を、山道をスローモーションで歩むアンジー(パトラ・アウ)とパット(マギー・リー)はどこかに着いてしまわないよう願っているようだ。エンディング、その道中の、すなわち人生のどこかの、最高のキスを含む幸せな場面は、この…

プレジデンツ・ケーキ

カンヌ監督週間 in Tokioにて観賞、2025年イラク・アメリカ・カタール、ハサン・ハディ監督作品。1990年、サダム・フセイン独裁政権下のイラク。作中の、アメリカの爆弾による被害者であふれる病院の医師や看護師は患者のために働いている(そして女性の医者…

12月の君へ

転校してきた人気俳優のソル(ハン・ソヒ)と俳優志望のスアン(ハン・ヘイン)の、学校を離れた二人の時間。海辺でカメラを回すも演技だと分からず心配して止めてしまう。「運転免許ないよ」「運転できればいい」、「それなら明洞」「今どき明洞なんて誰も…

ペンギン・レッスン

高い門に強面の警備員、壁の外までは届く「ファシストに負けない」との声を締め出し自らを社会から隔離している学校が開かれていく話である(ただし1976年のアルゼンチンにおける名門寄宿学校という舞台の特殊性は私には分からない)。まず壊されるのは、英…

手に魂を込め、歩いてみれば

イスラエルの攻撃下にあるガザに暮らす24歳のフォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナとのビデオ通話を世界に送るドキュメンタリー。当初「パレスチナ人としてここにいるのを誇らしく思う」と話していたのが「本当の牢獄」の中で破壊されてゆき、それで…

みんな、おしゃべり!

冒頭のろう学校の授業での聴者の先生(小野花梨)の音声言語での「怒っちゃうぞー」「犯人だーれだ」はあり得なすぎる(その内容は勿論、どんな生徒の前でも極力背中は向けないものなのに)。子どもの不和は教員の、ひいては大人のせいだと言っている場面だ…

ハルツーム

難民映画祭のオンライン上映にて観賞。原題Khartoum、2024年ドイツ・イギリス・スーダン・カタール、Anas Saeed、Rawia Alhag、Ibrahim Snoopy、Timeea Mohamed Ahmed、Phil Cox 監督作品。2022年、制作チームは30年の独裁政権を倒した後の「可能性に満ちて…

佐藤さんと佐藤さん

「部屋を丸く掃くやつなんですよ、女としてレベルが低いんです」と吐き出す依頼者(白ベルトにセカンドバッグの中島歩)が帰った後のサチ(岸井ゆきの)と弁護士の同僚の「どうして結婚するんですかね、離婚するのに」的なやりとりに、なぜ誰もが平等にでき…

アメーバ

東京フィルメックスにて観賞、2025年オランダ・フランス・スペイン・韓国・シンガポール、タン・スーヨウ監督作品。級長を決める手書きの投票用紙を教室のゴミ箱に捨てるものだろうか。私が担任なら処分するにしても一旦もらって持ち帰る(あんな学校には私…

アナザー・プレイス

難民映画祭のオンライン上映にて観賞。原題Another Place、2024年アメリカ、ジゼット・パノシアン監督作品。1990年に6歳でイランからアメリカへ避難した監督が、30年後にギリシャで参加し始めた支援活動の繋がりから自国を離れた若者3人の今(2021年~2023年…

ドス・ムカサン

カザフスタン映画祭にて観賞、2022年アイディン・サハマン監督作品。カザフスタンの国民的バンド、ドス・ムカサンの設立からの数年間を主に描いた伝記映画。ソ連の共和国から工科大学の学生が集まっての建設工事。カザフのとある若者は出がけにビートルズの…

カブール・ビューティー

難民映画祭のオンライン上映にて観賞。原題Comme tu es belle! / Kabul Beauty、2023年フランス、Margaux Benn & Solene Chalvon Fioriti監督作品。タクシーの外をゆくタリバンの男らに「かわいいね」と声を掛けられた二人の女性が「タリバンの彼氏を作る?…

スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

テレビで見た『地獄の逃避行』(1973)からの図書館での調べ物からの、書いた詩の人称をheからIに、himからmeに変える、“Nebraska”が生まれる過程に引き込まれる。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)がエンジニアのマイク・バト…

ショパン、ショパン!

ポーランド映画祭にて観賞。2025年ポーランド・フランス・スペイン、ミハク・クフィェチンスキ監督作品。「子どもの頃、走って咳をしただけで母は悲しそうな顔をした、ピアノを弾くようになってから走ってみたら咳は出なかった」。これは「強く健康な男性」…

100リットルのゴールド

フィンランド映画祭にて観賞。2024年フィンランド・イタリア・デンマーク、テーム・ニッキ脚本監督作品。堂々たる中年女が二人、田舎の一軒屋でアートに歌とめいめいの部屋でめいめいのことをしているオープニングに心掴まれる。ピルッコ(2023年の同映画祭…

消えない光

フィンランド映画祭にて観賞。2025年フィンランド、ラウリ=マッティ・パルッペイ脚本監督作品。監督からのメッセージは「(この映像を見ている)お客さんは場内に一人かもしれないけど、そこのあなた、帰ったらバンドを結成してね」で終わるが確かにバンド映…

バタフライ

フィンランド映画祭にて観賞。2024年フィンランド、アンナ・ブロトゥキン脚本、イェンニ・トイヴォニエミ監督作品。監督からのメッセージ映像の「フィンランドのテキサスと言われるセイナヨキに撮影当時とても影響を受けた」にどんな場所かと見ていたら、父…

バーバリアン狂騒曲

難民映画祭のオンライン上映にて観賞。原題Les Barbares、2024年フランス、ジュリー・デルピー監督作品。ブルターニュにやって来たシリア人一家の食卓を上から撮った画が鮮やかで心に残る(『スペース・スウィーパーズ』(2021年韓国)で数十年後の宇宙飛行…

旅と日々

日本語がない(私には目視できなかった)が日本だと分かる、ラナ・ゴゴベリゼの著書を念頭に言えば美しくはないビル群の光景に次いで、襖の前に座って湯呑みと鉛筆削りを前にノートに向かうシム・ウンギョン。彼女演じる李が書きつけるのが韓国語なのは、後…

あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。

フィリップ・プティに憧れ「へり」を歩いていて落ちた初恋の人の笑顔にかぶる、「彼のことをどう紹介しよう」…そうだよね、好きな人なら迷うよねと思うオープニング。主人公ドンジュン(ホン・サビン、長じてシム・ヒソプ)の「夢は別の宇宙の自分になること…

ハッピー・バースデイ

東京国際映画祭にて観賞。2025年エジプト、サラ・ゴーヘル脚本監督作品。「私はタダでも働く」、母や姉達のように魚をとるよりずっといいしネリーと友達だから…と思っていた誕生日を持たない少女トーハが、雇い主の家の娘ネリーの誕生日を通じて自分は「働か…