映画

That's What I Am

Amazonプライム・ビデオのおすすめに出てきたのを観賞(「スクール・デイズ」というタイトルで配信中)。2011年アメリカ制作。1965年の8年生、卒業間際の少年が小さな世界の中で大きなことを学んでいく話。主人公アンディが課題の話し合いのため仕方なく「変…

スクールライフ パリの空の下で

Netflixにて観賞、2019年フランス制作。オープニングの、校長が注意しなければおしゃべりの止まない職員会議、同じ朝、同じパーティ、職員も生徒も同じようなものだと思わせておいて、学校においては生徒の側だけが厳格なルールを課せられている。校門を一歩…

ナイチンゲール

アボリジニの青年ビリー(バイカリ・ガナンバル)が君も食卓につきなさいと言われて流す涙の訳の、ほとばしる一言が強烈だった。まさか映画を見ているあんたたち、ありがたいと感謝してるとでも思ってた?と。アイルランド人の女囚クレア(アイスリング・フ…

恐竜が教えてくれたこと

原作小説「ぼくとテスの秘密の七日間」は知らず。映画がよかったから読んでみたい。オープニング、バカンス客が遊ぶ浜辺で一人、棺を埋めるかのような穴を掘って横たわる少年サム(ソンニ・ファンウッテレン)。「一人残された時の気持ち」を知るため、慣れ…

ハラール・ラブ(アンド・セックス)/ゲスト:アレッポ・トゥ・イスタンブール

イスラーム映画祭5にて、時間の合った二本を観賞。 ▼「ハラール・ラブ(アンド・セックス)」(2015年レバノン=ドイツ、アサド・フラドカール監督)は、イスラーム法に則って関係を実践するベイルートの男女三組の話。全編に渡って明るい雰囲気。映画は毎度…

ナショナル・シアター・ライブ 2020 「フリーバッグ」

「ナショナル・シアターが厳選した、世界で観られるべき傑作舞台を、こだわりのカメラワークで収録し各国の映画館で上映する画期的なプロジェクト」(日本公式サイトより)というナショナル・シアター・ライブを初体験。元となっているドラマも未見(これか…

ジョン・F・ドノヴァンの死と生

私にはとても珍しいタイプの映画に思われた。情報量がとても多く…といっても一見何でもない画に多くの情報が存在しているという意味ではなく、ただただ色々なことが詰め込まれている。理屈や秩序のようなものが感じられない。それはドランが言いたいことをひ…

ジュディ 虹の彼方に

作中最初のステージに、背中をぽんと押されて出るジュディ・ガーランド(レネー・ゼルウィガー)の様子にはっとする。バンドを使わなきゃねと軽口を叩いての後ろ姿を捉えた画面は完璧だ。その理由が程無く分かる、歌い始めるのは「By Myself」、映画のオープ…

ソン・ランの響き

老団長の「恋を演じるには恋をしろ」が、(例えば「37セカンズ」の編集長の「セックスを描くならセックスしなきゃ」などとは異なり)間違いない真理として置かれているのに引っ掛かりを覚えつつ見ていたものだけど、終盤のリン・フン(アイザック)とユン(…

娘は戦場で生まれた

「いつものように」爆撃を受けるアレッポの病院内で、ワアドの幼い娘サマの脇で誰かがいわく「『どうして私を産んだの?』と言ってるよ」。ナディーン・ラバキーの「存在のない子供たち」を思い出さずにはいられない言葉だが、これは冗談で、皆も笑うのであ…

ミッドサマー

オープニング、ダニー(フローレンス・ピュー)の置かれた状況に、もし私がこうならどんなにきついだろう、どんなにどうしようもなくなるだろうと思う。映画の最中に登場人物の心をここまで想像することは実はそう無く、自分の心の動きに自分でも新鮮な感じ…

ダンサー そして私たちは踊った

(以下少々「ネタバレ」あり)ここに描かれているのは何を置いても恋の喜びである。遠目に気にし合うのに始まり、シャワールームでの奥床しくも大胆なアピールを経て、まるでそう、ヨーヨーを相手の眼前まで投げ付けてはぶつかる前に引き寄せるかのような応…

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ

フリッツ・ホンカ(ヨナス・ダスラー)の兄(マーク・ホーゼマン)は人が酒を飲む理由を「憂さ晴らし、祝い事、暇つぶし」と挙げるが、昼間でもカーテンを下ろした「ゴールデン・グローブ(原題)」の客、大戦からこちらを生きている人々の理由は一番目のみ…

37セカンズ

新宿に始まり序盤に主人公ユマ(佳山明)が通うのが歌舞伎町、前半は東京映画といってもいいんだけど、私にとっての東京とは違うな、でも既視感があるなと思いながら見ていたら、そうだ、NHKの少年ドラマシリーズ。子どもっぽいという意味じゃなく、これから…

グッドライアー 偽りのゲーム

煙草を片手に「煙草は吸いません」と入力するロイ(イアン・マッケラン)、酒のグラスを脇に「お酒は飲みません」と入力するベティ(ヘレン・ミレン)という、「ナイブズ・アウト」の尋問場面と同じく映像ならではのやり方で嘘を見せるオープニング、タイト…

ロニートとエスティ 彼女たちの選択

「仕事に情熱を感じてる 今の生徒達が好きだし、夢を与えてる 好きなように生きてと伝えてる」 「あなたはどうなの」 「これが私」見終わった後にあの人はこれからどんな教師になるだろうと考えてしまう映画があるものだが、これもそうだった。月曜の朝、生…

男と女 人生最良の日々

ルルーシュの「アンナとアントワーヌ」(2015)にはぴんとこなかったけれど、本作のアヌーク・エーメが語りかけてくるだけのファーストカットはあまりに「ヌーベルヴァーグ」で胸がいっぱいになった。ヌーベルヴァーグに思い入れがあるわけじゃないけれど、…

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密

これまで見たミステリー映画の中で一番ってくらい面白かった。映像ならではとしか言えない語り口に、映画には映画のために書かれた本が一番なのだと、そんなことないと分かっちゃいるけど思ってしまう、クリスティ原作ものに感じてきた不満を振り返ると。満…

プリズン・サークル

「僕には事情があるから嘘しか言えないんだ」という少年の言葉を世の人々に伝えんとこの映画はしているわけで、そのメッセージは明確である。対話からの更生を目指すこのTC(Therapeutic Community=回復共同体)プログラムを国内40万人の受刑者のうち40人し…

本当に僕じゃない!/エクスプローディング・ガール

特集上映「サム・フリークス Vol.7」にて観賞。テーマに沿っていながら趣の少し違う面白い回だった。手の指の股って心に一番近い体の部分なのかもしれないと思った。 ▼「本当に僕じゃない!」(2008/カナダ/フィリップ・ファラルドー監督)は、近所でもっ…

オルジャスの白い馬

「森山未來が出演しているカザフスタンが舞台の映画」という情報のみで出向いたら西部劇だったので意表を突かれた。面白く見たけれど、森山未來といえば体の動きが魅力的なのがあまり活かされていないようで少し残念だった。一家の父親が動物をトラックに乗…

カット オフ/BOYS ボーイズ

のむコレ3にて観賞。 ▼「カット オフ」(2018年/ドイツ/クリスティアン・アルヴァルト監督)はモーリッツ・ブライプトロイ演じる検視官が連続少女暴行殺人犯に娘をやられる話。突如彼に頼まれ遠隔地で死体を解剖するリンダ役に、大好きな「東ベルリンから…

ジョジョ・ラビット

10歳のジョジョがかっこよく制服を身に着け家の外へ飛び出していくと流れ始めるアヴァンタイトルの「抱きしめたい」は、まずは当時の人々のヒトラーへの「熱狂」に掛けられている。この時点で、しまいまで見ずに、そんな考え無しな…と思わせない何か、何だろ…

フォードvsフェラーリ

最後の方は悲しい気持ちになった。ゴールの後、大勢とは逆の方向に歩いてゆくキャロル・シェルビー(マット・デイモン)とケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)の姿は、フォード社副社長レオ・ビーブ(ジョシュ・ルーカス)の言う「純粋な」…この場合はチ…

パラサイト 半地下の家族

昔、とある芸能人が毎日数時間入浴するという話題に触れて、災害時にはどうするんだろうと言ったらそういう人はそういう目に遭わないんだよと返されたものだけど、階段を下りた息子ギウ(チェ・ウシク)の「(大学生の友人)ミニョンだったらどうするかな」…

リンドグレーン

映画は読者である子ども達からの手紙を開封するアストリッド・リンドグレーンの後ろ姿に始まる。カセットテープに吹き込まれた「なぜ子どもの心が分かるのですか、子どもだったのは昔なのに」の後に映るかつての彼女(アルバ・アウグスト)は16歳。教会で、…

イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり

実話を土台にしているが、エディ・レッドメインが実在の気象学者ジェームズ・グレーシャーを演じているのに対しフェリシティ・ジョーンズ演じる操縦士の「アメリア」・レンは男性から架空の女性に置き換えられているんだそう。「気球操縦士と彼の妻」として…

サイゴン・クチュール

1969年と始まってしばらく、ここで描かれるのはベトナム戦争と無縁の世界なのだ(おそらくそういう一面も実際にあったのだろう)と了解すると同時に、「ミス・サイゴン、西洋文化を広める」という新聞の見出しや背景に流れる音楽に昨年の東京国際映画祭で見…

ダゲール街の人々/アニエスによるヴァルダ

「アニエス・ヴァルダをもっと知るための3本の映画」にて観賞。写真はシアター・イメージフォーラムの外の壁にいたヴァルダ。「ダゲール街の人々」(1975/フランス、原題「Daguerreotypes」)はジャック・ドゥミと暮らしていたパリ14区のダゲール通りを捉え…

ある女優の不在

私は悪くない、悪くなかったよね、だって、だって…と女優ジャファリ(ベーナズ・ジャファリ)が確認のためにこれまで縁のなかった場所に向かおうとしている冒頭は、私には時が止まっているように、あるいは進むべき時が進んでいないという意味で後退している…