映画
予告編の冒頭の「ベルファストの映画の始まりはどれも…」(舞台自体は別の土地だけど『プロフェッショナル(2024/原題In the Land of Saints and Sinners)』なんてまさにそうだったよね、いい映画だった)は映画そのもののオープニングだったのか、からの…
「ここでの暮らしには暗黙のルールがある、怒りを感じても表に出さないこと」「幻想を持たなければやっていけない」道路、市場、そして人でごった返す駅のホームや列車の映像にかぶる、ラナ・ゴゴベリゼの『インタビュアー』(1978年ジョージア)も何となく…
限定上映にて観賞。2007年中国制作、リー・ヤン脚本監督。主人公・白雪梅を連れ戻しに来た公安の「あんたたちも人の親だろう、娘が売られたらどう思う」「娘さんの気持ちを考えたことはあるのか」には、よく言われる「人権は思いやりではない」のだからそん…
特集上映サム・フリークス Vol.31にて「女性の自立を描いた二本立て」を観賞。今回も、というかいつもタイムリーだ。 ▼『ナタリーの朝』(1976年アメリカ、スタンリー・シャピロ原作、A・マーティン・ツウェイバック脚本、フレッド・コー監督)はパティ・デ…
主治医のジャジャーン!(×2回)じゃないけれど、この映画が描いているのは「他人との距離が異常に近いが相手のことはどうでもいい」世界である。それを体現しているのが隣人で自称劇作家のイングリッド(レナーテ・レインスベ)で、部屋の奥までずかずか入…
レインボー・リール東京にて観賞、2024年インド、オニル監督作品。「カシミール語を主言語とした初のLGBTQI+映画作品」とのことで英語の原題はWe Are Faheem & Karun。カシミールの実家に帰省した大学生のファヒームと南部インドから検問所に派遣されたカル…
第二次世界大戦下の満州において接待という名のもとに行われた性暴力、それにより何十年も続く苦しみと尊厳の回復の手触りを記録したドキュメンタリー。作り手の訴えがよくよく伝わってくる内容と構成だった。「これは日本の縮図だ」とは反省しない、総括し…
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年タイ)では主人公リンの父は教師だったがこのリメイクではランドリーを経営している(演ベネディクト・ウォン)。国内の階級差でなくアメリカに生きる移民の話というので設定が色々変わっている。リン(カリー…
U-NEXTでの配信開始を機に視聴、この邦題は原題の개같은 날의 오후の通り。1995年韓国、イ・ミニョン監督作品(監督は作中のみならずエンディングの歌も歌っている食堂の女性役イム・ヒスクの弟だそう)。「全国の気温が36度以上まであがった」記録的猛暑の…
映画は1905年の乙巳保護条約締結に反対し自決する者や独立運動に身を挺する者が多く出たとの文に始まる。これはアン・ジュングン(ヒョンビン)のみならず、「ぼくらの名前は日本の歴史に残らない」と話すキム・サンヒョン(チョ・ウジン)や両班に虐げられ…
冒頭から退職代行に男の日傘と昨今の話題がこれでもかと詰め込まれているけれど、うまく話を盛り上げているし、「時代は変わる」がテーマなのだから、後で見たらあったね~こういう話題!と思われるであろうこういう要素を取り入れるの、私はいいと思う(イ…
オープニングから過去に遡り、なるほど主人公グレース(サラ・スヌーク)の生い立ちから始まるのかと思いきや、映画の大方は彼女がこれまでの人生をかたつむりのシルヴィアに語る内容という構成。聞き手の歩みがのろいので語っても語ってもまだ目の前にいて…
「コンパスは二人共有だ、二人で使ってた」。チュンとユエを洞窟で発見、救助した人が二足の靴を並べた間にコンパスを置く。その人が「『男の子』の方の靴は今は自分が履いている」のも含め、それはユエの言によれば「兄弟であり恋人」である二人の歩みがそ…
(以下、結末に触れています)ドキュメンタリー『マダム・ベー 脱北ブローカーの告白』(2016年韓国)の、ようやく辿り着いた大都会ソウルの空撮に「共産主義の蛮行を忘れてはいけません」というプロパガンダの声が重なる演出は忘れ難い。北から来た人々に対…
映画は壇上の校長目線で始まり壇上の校長目線…でなく中山先生(渋川清彦)の横顔で終わる(から最後に出るように「教頭の人生」なわけだ、そこにいるのは校長ではなく彼自身)。このオープニングのために作中では朝礼の後に校長室で七名のみでの朝会という学…
「別人になりたがってるように見えたから」とリタ(ドリー・デ・レオン)が開いたドアにダン(キース・カプフェラー)は足を踏み入れる。『セイント・フランシス』(2019年アメリカ)監督コンビの新作の主役がおじさん?と見てみたら、オールドスクールな人間…
(以下少々「ネタバレ」しています)リメイク元である『ヒドゥン・フェイス』(2011年コロンビア・スペイン)と異なりこの映画では「消えた婚約者」であるスヨン(チョ・ヨジョン)がソンジン(パク・サンフン)とミジュ(パク・ジヒョン)を繋げたことが冒…
予告に是非見たいと思ったのは、第一に「女同士の(文字をうつのも嫌だけど)ドロドロ」に使われてきた類の設定が書き直されるのを求めているから、第二に最近の映画ならアルモドバルの『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』でも女二人が同じ男と(同時にじゃない…
レインボー・リール東京にて観賞、2024年フランス、アレクシ・タイヤン監督作品。フランス初のクィア・シニア団体「グレイ・プライド」のメンバー三人の語りを通じて老いとセクシュアリティのテーマを追うドキュメンタリー。話し合いの場における高齢者施設…
レインボー・リール東京にて観賞、2023年イギリス。脚本監督のジャニス・ピューは北ウェールズの出身で、舞台はリバプール近くの小さな町。家の外への窓は開けつつ家の中で自身を守るようにイヤホンをつけているヘレン(ルイーズ・ブリーリー)と、父親が死…
昔ながらの一軒家から集合住宅に住むようになって何十年、いまだ慣れない一つは、昼間でも外の明るさが認識できず、玄関のドアを開けると思っていたより必ず明るいということだ…と再確認するオープニングの一幕で舞台が私(と、同世代である早川監督)の子ど…
デジタル・リマスター版をユーロスペースにて観賞。案外と内容を覚えていたけれど、今でも新鮮だった。古くなったところは多々ある、発言内容以前に当事者の少なさ、とりわけ登場する役者はほぼ「ゲイを演じたストレート」なのだから。『メーキング・ラブ』…
『大都会の愛し方』(2019年パク・サンヨン)の主人公ヨンはジェヒの言動に逐一、これがジェヒだ、ジェヒらしくない、やっぱりジェヒだなどと心に思う。小説は徹頭徹尾ヨンの語りであり、唯一その名前がタイトルとなっているジェヒも、いやタイトルになる位…
アイルランド映画祭にて観賞、2024年アイルランド、アン・マッケイブ監督作品。大好きなパパとのお約束のやりとり「今日の最高と最悪は何だった?」を主人公モリーは一人でもし続ける。パパが昏睡状態になったあの日の最高は家族でビーチで過ごしたこと、で…
ドビッシーの「夢」がこんなにも全編に渡って(変奏含め)流れる映画ってない。死んでもいない父親単独の写真がダイニングルームに掲げられた一家の、弟は弾けるが兄は弾けない。うなだれる兄へのピアノの先生の「大人でも難しい、二拍三連と八分を同時に弾…
監督が祖母との実体験を元に撮ったという本作の主演は93歳のジューン・スキッブ。前日『ブルー・ロード エドナ・オブライエン物語』で同年代のエドナのインタビューを見たところだし、オゾンの『秋が来るとき』やドラマ『天国より美しい』の「80歳の主人公」…
アイルランド映画祭にて観賞、2024年アイルランド、シネイド・オシェイ監督作品。映画でよく見る場所が映った後、ウォルター・モズリイ(デンゼル主演で映画化された『青いドレスの女』の作者)が「ブルーカラーのハーバード」ことシティカレッジでエドナ・…
アイルランド映画祭にて短編中編を同時上映で観賞。『メモリーズ・オブ・アザーズ』は2024年アイルランド、マーク・レッサー、ポーリン・ヴェルメール監督作品。ベトナム戦争の報道写真で知られる写真家の岡村昭彦が北アイルランド紛争の渦中に撮影した作品…
(以下「ネタバレ」しています)「ばばあの娼婦だ」と暴言を吐く老いた男、ルカの上級生らに偏見を植え付ける大人、ミシェル(エレーヌ・ヴァンサン)と親友マリー=クロード(ジョジアーヌ・バラスコ)それぞれの子はそうした環境で育ってきた。ヴァレリー…
アイルランド映画祭にて観賞。2024年アイルランド、レインボー・リール東京で見た『マッド・メアリー』(2016年アイルランド)も良かったダレン・ソーントン脚本監督、コリン・ソーントン共同脚本。ダブリンに暮らす作家のエドワード(ジェームズ・マクアー…