2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ロストケア

訪問介護施設で働く斯波(松山ケンイチ)について同僚の猪口(峯村リエ)いわく「若いのにあれだけ白髪なんだからよっぽど苦労してるんじゃない」。彼の白髪と大友(長澤まさみ)の艶々の黒髪、訪問先の汚物だらけの部屋と法律書が整然と並び陽が入り机も床…

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム

DAVID BOWIE isの映像の部屋に2時間居るような内容かと思っていたんだけど、見てみたら、「映画館で見る映画」という感じがしないという意味ではそうでもありつつ、映像素材を言葉として作り手が物語を語っているという意味では全く違い、そのお話の強さは一…

ヘィ!ティーチャーズ!

撮影は2017年から18年、製作は2020年。モスクワの大学を出たエカテリーナとワシリイが教師として地方の国立学校に赴任しての一年間を追った作品。ロシアのドキュメンタリーを見る機会がそもそも少ないのに加えその後のことを考えると、出てきた全員、今どう…

メグレと若い女の死

裸の若い女が初めてであろうドレスを身につけ初めてであろう場へ出かけるのと、下着姿の初老の男が慣れているであろう診察を受けいつもの職場に居るのがカットバックで描かれる映画的なオープニング。子どもの頃など「ミステリ」大好きだったのにシムノンに…

シンデレラ 3つの願い

「ノルウェー映画史上最大の動員数を記録」した本作は、チェコのボジェナ・ニェムツォヴァーによる『Tři oříšky pro Popelku』を原作とする1973年のチェコスロバキア・東ドイツ共同製作の同名映画(邦題『シンデレラ 魔法の木の実』)のリメイクなんだそう。…

茶飲友達

映画は「妻を亡くし『お迎えを待つだけ』と暮らしが荒れている」高齢男性(渡辺哲)の日常に始まり変化を経た彼の姿に終わる。男性に女性との触れ合いが無いのを欠落とする形で寂しがられるのは迷惑なので変わってくれというのが今の(少なくとも私の世代の…

オットーという男

オープニングクレジットにプロデューサーとして名前が出てそうなのかと思ったことに、『幸せなひとりぼっち』(2015年スウェーデン)のリメイク権を取ったのはトム・ハンクスのパートナーのリタ・ウィルソンだそうだけど、さすが「アメリカ映画」、とても分…

フェイブルマンズ

ミシェル・ウィリアムズ演じる母親ミッツィのエプロンのポケットにいったん入ったフィルムに魔法がかかったように私には見えた。「すべてのことに意味がある」とは彼女がそう思わなければやってこられなかったという意味だと思うけれど(「実際」はどうだっ…

オマージュ

ある女性監督が1960年代に残した映画の修復プロジェクトに中年女性監督が取り組み先人の道のりを知るという物語は、シン・スウォン監督が韓国映画界でかつて活躍した二人の女性について制作したドキュメンタリーが元になっているとのこと(未見)。今作られ…

エッフェル塔 創造者の愛

史実の空白を自由に埋めるスタイルというので、同じロマン・デュリス主演の大好きだった『モリエール 恋こそ喜劇』みたいだなと見てみたんだけど、期待から外れていたのに加え、ラストには…ああいうことを考えたりしたりする男性は実際いるものだけど…吹き出…

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

「ジョイ」(「ママをママに持った喜びも知っている」/ステファニー・スー演)は、エヴリン(ミシェル・ヨー)が彼女を娘?と初めて認識するシーンで警備員に「お前はここには居られない」と言われ「フィジカルには存在するのに?」と返す。誰かの存在を他…

マジック・マイク ラストダンス

「君は何を買ったか分からないだろうが、おれはそれを提供する」とマイク(チャニング・テイタム)に言われたマックス(サルマ・ハエック)が、受け取った「それ」を全ての女性にあげたい、彼には才能があると思ったところから話が始まる。恋愛によって作品…

もう、歩けない男

度々TLにも体験談として流れてくる、自身の属性が変われば世界が変わるという話。主人公アダム(アーロン・ポール)の出勤シーンが最初と最後に繰り返されるが、言動は「変わっていない」ながら後者の彼がエレベーターで見るのは他人の尻である(あれには映…