2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

あしたの少女

大手通信会社のコールセンターの目的は顧客の解約を阻止すること。現場実習生として働き始めた高校生のソヒ(キム・シウン)が客に罵倒される冒頭から、なぜこの二者が争わねばならないのかという疑問、その異様さが浮かび上がってくる。以降こんな映画は初…

エリザベート 1878

随所にこの映画の何たるかが表れている…とは随所が映画そのものなんだから奇妙な物言いだけど、そう思いつつ見終わった。エンドクレジットでエリザベートを演じたヴィッキー・クリープスがエグゼクティブ・プロデューサーでもあったと確認し彼女が踊るのを目…

マリア・ブラウンの結婚

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選にて観賞。映画の終わり近く、ハンナ・シグラ演じるマリアが室内を走り回る様にこれは愛(「これから知る」相手への愛、つまりそういう類の愛)のための家なのだとしみじみ思うが、ファスビンダーの映画で中心に…

シモーヌ フランスに最も愛された政治家

映画は幼い頃の記憶に始まる。遅くまで外で遊ぶ姉や兄に対しもう少し本を読みたいと言うシモーヌにあと10分ねと返す母イヴォンヌ(エロディ・ブシェーズ)へ甘やかしすぎだと父が声を掛ける。彼女は家庭内のいわば少数派である。しかし時を経てユダヤ人の一…

バービー

全くケンなんて作るから、いや違う、「決して変化しない」関係なんて作るからこんなことになる。Netflixのドキュメンタリー『ボクらを作ったオモチャたち(2017/The Toys That Made Us)』ではバービーは結婚できない、してしまうと主婦の苦労を背負わなけ…

ソウルに帰る

初見演奏とは子ども時分の私にとっては(例えばピアノのレッスンにおいてのそれは)スリルであった。この映画のフレディ(パク・ジミン)にとって冒頭のそれが旅先の韓国人を使っての自分にアドバンテージがあるお楽しみだったのが、映画の終わり、形にして…

旅行の記録

帰省がてら知多半島の美浜へ。前から行ってみたかったえびせんべいの里でせんべい焼き体験をしたり、フレベールラデュでハウスみかん「みはまっこ」や地元の食材を使った美浜サンライズパフェを食べたり。お店の向かいは三河湾。実家で同居人が作ってくれた…

658km、陽子の旅

ラックの上に置かれた小さなテレビの中の、神宮外苑のいちょう並木の紅葉を見に観光客が外国からも訪れているというニュースは、仕事も買い物も家から出ずに済ませている陽子(菊地凛子)との対比、そんな彼女が旅に出ることになる予兆なんだろう(ちなみに…

インスペクション ここで生きる

訓練所行きのバスの中でイキった黒人男が皆に聞かせるように口にする「街で殺しても儲けにならないが軍人として殺せば稼ぎになる」と、主人公エリス・フレンチ(ジェレミー・ポープ)が後にある人物だけに打ち明ける「外にいれば野垂れ死にするか殺されるか…