2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

今年を振り返って

今年劇場で見た映画の中からお気に入りベスト10を、観賞順に。『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』(感想)…ワクチン接種の予約の際に感じた複雑な気持ち、パートナーとの関係は世界へ開かれていなければならないのではという思い、割り切れないロマ…

ウォーターメロンマン

「“ほぼ”アメリカ映画傑作選」にて観賞、メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ監督の1970年作。差別主義者の…と言ってもここまで露骨に表出しないだけで多くの人間の認識がこのようなものじゃないかと思わせる…中流階級の白人男性が目覚めたら「黒人」に。外へ出…

死を告げる女

テレビ局の会議において、その場でただ一人の女である局の看板アナウンサー、チョン・セラ(チョン・ウヒ)は「『アナウンサー顔負け』の容姿」と男達に賞賛される記者にケチをつけて蹴落とす。女の席はごく僅かで不安定だから、女同士がこうして傷つけ合う…

ケイコ 目を澄ませて

映画はケイコ(岸井ゆきの)が部屋でひとり、床に座って氷を噛みながら文字を書いているのに始まる。彼女が日々の記録のそのノートをあっさりと会長の妻(仙道敦子)に渡してしまうのにすごく驚いたものだけど、見ているうちにそれこそ大事な瞬間だったと分…

猫たちのアパートメント

見るのが大変しんどいドキュメンタリーだった。猫=他者をコントロールしようとする映像が延々続くんだから(こんなにも「檻」が出てくる映画ってない)。それをするのは相手に死が迫っているから、死から遠い方が幸せだと思うからだが、「トゥンチョン団地…

おかしな求婚

「“ほぼ”アメリカ映画傑作選」にて観賞、エレイン・メイ脚本監督の1971年作。まごうことなきウォルター・マッソーのスター映画にして、あくまでも彼演じるヘンリー・グラハムが主人公の物語。彼がどんな奴かというほぼ一人芝居に冒頭かなりの時間が割かれて…

Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック

「うちらはこんなに頑張ってるんだから海に行ったっていいはず」。17歳の女子二人、アンジェラ(マイア・ミッチェル)とジェシー(カミラ・モローネ)が何を頑張っているのかというと、テキサスの寂れた町の一軒家、親はおらずダイナーの仕事のシフトを一回…

不屈

中央アジア今昔映画祭にて観賞、2018年ウズベキスタン制作、ラシド・マリコフ脚本監督。ソ連がアフガニスタンを侵攻した際に前線基地となったウズベキスタンの、アフガン帰還兵の物語。作中病院のシーンで視力検査表のうち一列がコリョマルというところにも…

狼と羊

中央アジア今昔映画祭にて観賞。2016年デンマーク-フランス-スウェーデン-アフガニスタン制作、シャフルバヌ・サダト脚本監督。前回の同映画祭で見た『カーブルの孤児院』(感想)の前日譚なんだそうでこちらも面白かった。アフガニスタンの山間の村、『孤児…

MEN 同じ顔の男たち

ハーパー(ジェシー・バックリー)の夫ジェームズ(パーパ・エッシードゥ)の「君が別れたいのはここ一年のぼくのふるまいであって、ぼくじゃない」にはなるほどと思ってしまった。私の知っている男性の多くが、「ぼく」という不変のものがありそれこそが大…

あのこと

主人公アンヌ(アナマリア・バルトロメイ)と親友ブリジットが男を求めての外出前に胸を大きく見せようと下着に細工しているオープニングが秀逸。女にも性の欲望があり(ない女も勿論いようが)、自身の体を性的に目立たせるのがセックスに近付く最も流通し…