2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

マルクスは待ってくれる

イタリア映画祭のオンライン上映にて観賞、2021年マルコ・ベロッキオ作品。ベロッキオ家のドキュメンタリーにして、ベロッキオ(ここではマルコ・ベロッキオのこととする)が言うには彼の29歳で自死した双子の弟カミッロが主役。死産かと思われた彼に母親は…

このろくでもない世界で

映画は主人公ヨンギュ(ホン・サビン)が大切な存在である義理の妹のハヤン(キム・ヒョンソ)を傷つけた(実際にはもっと「裏」がある)同級生を殴るのに始まり、更に大切な存在を更に傷つけた相手を殴ろうとするがハヤンの制止もありふと気付いてやめ、京…

越境者たち

映画というかお話としての特徴が二つある。一つはサミュエル(ドゥニ・メノーシェ)が指差す先の何気ないワンカットが『アイガー・サンクション』かよと思う程の絶壁であること、すなわち山映画であること。彼もチェレー(ザーラ・アミール・エブラヒミ)も…

HOW TO HAVE SEX

食べながらおしっこし、吐いたそばから飲み、しきりに愛してると言い合って手を繋ぐ、卒業旅行初日の親友三人だけの時間。翌朝のプールでいわばセックスの気配に当てられ部屋に戻ってきたタラ(ミア・マッケンナ=ブルース)の、ベッドのエマ(エンバ・ルイ…

愛の手紙/ザ・ビンゴ・ロング・トラヴェリング・オールスターズ&モーター・キングス

特集上映「サム・フリークス Vol.28」にて「米国文芸映画二本立て」を観賞。ロマンチックに過ぎるようだけど私としては「決して忘れない」で繋がった。『風と共に去りぬ』のままにイルマ・P・ホール演じる使用人のみが黒人という真っ白な一本目を二本目と一…

メイ・ディセンバー ゆれる真実

冒頭ジュリアン・ムーア演じるグレイシーが夫のジョー(チャールズ・メルトン)に皿をどう並べるか指示した後、子ども達が屋根へ上るときかないのを娘メアリー(エリザベス・ユー)はそのままに息子チャーリー(ガブリエル・チョン)の方へ気を付けるよう頼…

クレオの夏休み

カメラが全てにあまりに近く、肌や髪、布や金属の触感、雲梯から落ちて怪我した手のひらの痛さや海に近い砂の上を歩く足のめりこみ具合などが自分の中に蘇るけれど、それを体感している人物に移入するわけではなく、そこから一番遠いはずの他ならぬ私自身の…

YOLO 百元の恋

人が意思でもって自分の体を変える過程を見せて人の心を動かすという『百円の恋』(2014)の核心を過剰なまでにカバーしつつ、物語のテーマは全く違う。映画の終わり、「勝ちたかった」と男にしがみついて泣く一子(安藤サクラ)と異なりこちらのローイン(…

存在しない南

イタリア映画祭のオンライン上映にて、今年の上映作『あなたのために生まれてきた』(感想)がとてもよかったファビオ・モッロ監督の2013年の長編デビュー作を観賞。祖母が17歳のグラツィア(ミリアム・カールクヴィスト)に向かって言う「南部なんて無意味…

Shirley シャーリイ

多くの映画に描かれている、弱者は矛盾を引き受けねばならないということがここにも認められる。「女の子には残酷すぎる」この世界において若い女性は見えない存在でありながら常に好き勝手に見られる。消えても気にされないが消えない限り自由になれないと…

ウィーン10区、ファヴォリーテン

オーストリア映画週間2024にて観賞。2024年オーストリア、エリーザベト・メナッス脚本、ルート・ベッカーマン脚本監督。ファヴォリーテン地区にある「ウィーン最大の小学校」のいちクラスの2021年から2023年まで、2年生から最終学年の4年生までの3年間を追っ…

週末の記録

同居人も私もハン・ガン『別れを告げない』を読み終わったところで、コリアンタウンの三河島へ。ドヤジの焼肉ランチは丁寧に味付けされたお肉が美味しかった。丸萬商店では春キャベツのキムチとトマトのキムチに金土限定という済州島塩味のチャプチェを購入…