2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧
「携帯電話を照明として使う」映画を初めて見た時のことをいまだに覚えているけれど、ライト機能を印象的に使ったこの映画の冒頭も長く忘れないだろう。エレベータ―が故障したままの団地、アビー(アンタ・ディアウ)言うところの「10階建てのスラム」におい…
特集上映「ニナ・メンケスの世界」にて観賞。妹ティンカ・メンケス演じる主人公フィルダウスがベッドに横たわる老いた男性の世話をする『クイーン・オブ・ダイヤモンド』(1991)の冒頭に、金銭をもらってしているのかそうでないのかと考えるが、そのうち女…
主人公である教師カーラ(レオニー・ベネシュ)があのような行動に出た切っ掛けというかそうさせた最後のひと押しは、同僚達の「(移民である)アリの両親の職業は何?」「タクシー運転手?信用できる?」といった差別発言への憤り。その場で彼らに抗議すれ…
「ユ・ヘジン初のラブストーリー」との宣伝文句や予告から想像していたよりずっとよかった、かなりいい線のロマコメ。上司の性暴力をイ・イルヨン(キム・ヒソン)の暴力で、食事の席でのもめ事を彼女の娘チンジュの暴力で半ばコミカルに終わらせる(「会社…
とっても面白かった。この映画自体が伝記映画のパロディ、映画の形をとった妄想、ということは壮大な『パロディ放送局 UHF』(1989)だと言ってもいいのでは。一番の根にあるのがお馴染み父親との確執で、自身と同じ工場労働者になるよう命じられ替え歌を禁…
ベラルーシに到着したトルコ航空機内で「ようこそ」と配られる一輪のバラ。オープニングのみ緑に映されていた森を難民達がゆくうち、モノクロの映像に色がつくんじゃないかと何となく思うが、そのうち色がないことに慣れ、もう色なんてつかないと思う。ベラ…
以前はまめに書いていた休日の記録をたまには。ガーナチョコレートが韓国のロッテとコラボレーションしたGhana CHOCOLATE HOUSEにて、薬菓が土台のガーナチーズケーキと薬菓を飾ったガーナソフトの「夏」(いちご・ミルク)。どちらも美味しく表参道の欅も見…
イタリア映画祭にて観賞、2023年ファビオ・モッロ監督作品。冒頭呼び出されて裁判所に向かう自転車でふと片手を離してみる、ルカ(ピエルルイージ・ジガンテ)にとって子を持ち家族になることは自由になることと同等なのだと分かる。以降何度にも分けて挿入…
主人公ジミー(シュー・グァンハン)の高校時代の若さ溢れるねぼすけぶりを活かすためなのか朝9時からの映画デートってありなのかと思うが(台湾では、あるいは普通によくあることなのかな?行き先はアン・リーも通ったという全美戯院)、それから夜まで何を…
イタリア映画祭にて観賞、2023年ジネヴラ・エルカン監督作品。映画は主人公ジーニア(イーレ・ヤラ・ヴィアネッロ)がすてきなブラウスとスカートを脱いでお針子の制服に着替える朝に始まる。映画の終わりには、この制服が、終盤ある大人の女性が口にするよ…
イタリア映画祭にて観賞、2023年ジネヴラ・エルカン監督作品。吐瀉のしみ、脇の汗、鳥につけられた傷、女達は体のいわば異常を取り繕って「普通」のふりをする。普通でなければいけないいわれはないがそのせいで苦しいから。異常気象で灼熱のローマのクリス…
冒頭、薪を割る巧(大美賀均)に、映画は結局のところ知覚において私の見る夢のようではないと思う。私の夢は映像のはずなのに概念であり姿かたちがない。映画には映像が必要だなんて不自由なものだと奇妙なことを考えてしまった。しかしその後の「やまわさ…