2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ひとつ空の下 3つのエピソード

ジョージア映画祭のラナ・ゴゴベリゼ監督特集にて観賞、1961年作品。女性が主人公のオムニバス映画というので今年のイスラーム映画祭で見た『私が女になった日』(2000年イラン、マルズィエ・メシュキニ監督作品/感想)を思い出した。あちらが三世代の女の…

エフィ・ブリースト

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選にて観賞。登場人物が話す相手を見ない時…とりわけこういう類の映画にはよくあることだが、なぜかこの映画では…何を見ているか分からないその目の持ち主になったような、その人の中に入り込んだような、奇妙な感…

カンフーマスター!/アニエスv.によるジェーンb.

「ジェーン B.とアニエス V. 二人の時間、二人の映画。」にて『カンフーマスター!』(1987)『アニエスv.によるジェーンb.』(1988)を続けて観賞。学生時代ぶりで内容は殆ど覚えていなかった。前者の大好きだったオープニングのあれ、あんなに短かったんだ…

エターナルメモリー

オープニング、固定カメラでぼんやり映し出されるのは夫婦の寝室という大変に私的な場所だが、その後に提示されるのはその家の住人である二人、アウグストとパウリナが社会の中でどう生きてきたか。ジャーナリストのアウグストは軍事独裁時代のチリの人々の…

ポライト・ソサエティ

物語は誰の話かで決まるから、まだまだ「初めて」があり得る(そしてどんどん続いてがんがん増えねばならない)。道場に始まるオープニングよりずっと、リア(プリヤ・カンサラ)がどんな人間だか執拗なほど丁寧に描かれるのは、この類の主人公がこの規模の…

フォールガイ

スタントパーソンのコルト(ライアン・ゴズリング)が「(スタントの)アカデミー賞は?」と言われてのあの顔からの、回想ではジョディ(エミリー・ブラント)ににせの瓶で殴られてきゃっきゃとふざけてたのが本物の瓶で奴らを殴ってからの、スタントが(作…

夜の外側 イタリアを震撼させた55日間

威張っている男達と威張っている奴らが気に食わない男達が衝突し、交渉に応じたら舐められると互いに強硬な態度に出た結果(本作には後の調査により判明したという事情などは一切出てこない)、融和の象徴であるアルド・モーロ(ファブリツィオ・ジフーニ)…

ボレロ 永遠の旋律

『ボレロ』初演の晩の字の乱れを兆候に、ラヴェル(ラファエル・ペルソナ)は彼いわく「時間(の感覚)を失う」。時間が規則的に流れ爆発して終わることを悪くない、それが真理でありそれこそ人生だとする彼がそうなるのは皮肉とも言え、そのことを知ったミ…

旅行の記録その2

松本に行くのは初めてだと思っていたのが、実家に泊まった晩に母に聞いたら4歳の時に行ったことがあるよとアルバムを見せてくれた。1977年の、日付はちょうどその日と同じ8月12日とあった。それで松本旅行の一番にお城の同じ場所で同じポーズで写真を撮って…

旅行の記録その1

私の両親を迎えて、以前乗って楽しかった西武鉄道のレストラン列車「52席の至福」でとあるお祝い。きのこが大の苦手の私が「秩父産キノコとモリーユ茸と埼玉県産ケールのクリームスープ」の美味しさにびっくり、別途注文した海中熟成ワインの味も「牛ほほ肉…

ロイヤルホテル

旅先のオーストラリアの夜、君はスウェーデン人?君はフランス人だよね?と(実際はどちらもそうでない)ハンナ(ジュリア・ガーナ―)とリブ(ジェシカ・ヘンウィック)が男達に声を掛けられるオープニングは、ここで知り合ったトルステンが砂漠の果てのパブ…

ツイスターズ

前作『ツイスター』(1996)では同じ物が好きな者同士の方がうまくいくよね、程度で押し通されていた恋愛要素が、こちらではぐっと素敵になっていた。同じ物を並んで見上げ、ロマコメらしく騙し合い、別々の車内で隣の仲間に同じ内容の熱弁を振るう(このく…

リッチランド

被曝三世のアメリカ在住の芸術家、川野ゆきよ氏がリッチランドの住民との対話の席で「この場で唯一のカラードとして演台の上から話すのは気が引ける」というようなことを口にするのに、日本に住む日本人の私は、逆境とそれに対する意志を思う。しかし「リッ…