映画

ハルビン

映画は1905年の乙巳保護条約締結に反対し自決する者や独立運動に身を挺する者が多く出たとの文に始まる。これはアン・ジュングン(ヒョンビン)のみならず、「ぼくらの名前は日本の歴史に残らない」と話すキム・サンヒョン(チョ・ウジン)や両班に虐げられ…

映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!

冒頭から退職代行に男の日傘と昨今の話題がこれでもかと詰め込まれているけれど、うまく話を盛り上げているし、「時代は変わる」がテーマなのだから、後で見たらあったね~こういう話題!と思われるであろうこういう要素を取り入れるの、私はいいと思う(イ…

かたつむりのメモワール

オープニングから過去に遡り、なるほど主人公グレース(サラ・スヌーク)の生い立ちから始まるのかと思いきや、映画の大方は彼女がこれまでの人生をかたつむりのシルヴィアに語る内容という構成。聞き手の歩みがのろいので語っても語ってもまだ目の前にいて…

雪解けのあと

「コンパスは二人共有だ、二人で使ってた」。チュンとユエを洞窟で発見、救助した人が二足の靴を並べた間にコンパスを置く。その人が「『男の子』の方の靴は今は自分が履いている」のも含め、それはユエの言によれば「兄弟であり恋人」である二人の歩みがそ…

脱走

(以下、結末に触れています)ドキュメンタリー『マダム・ベー 脱北ブローカーの告白』(2016年韓国)の、ようやく辿り着いた大都会ソウルの空撮に「共産主義の蛮行を忘れてはいけません」というプロパガンダの声が重なる演出は忘れ難い。北から来た人々に対…

中山教頭の人生テスト

映画は壇上の校長目線で始まり壇上の校長目線…でなく中山先生(渋川清彦)の横顔で終わる(から最後に出るように「教頭の人生」なわけだ、そこにいるのは校長ではなく彼自身)。このオープニングのために作中では朝礼の後に校長室で七名のみでの朝会という学…

カーテンコールの灯

「別人になりたがってるように見えたから」とリタ(ドリー・デ・レオン)が開いたドアにダン(キース・カプフェラー)は足を踏み入れる。『セイント・フランシス』(2019年アメリカ)監督コンビの新作の主役がおじさん?と見てみたら、オールドスクールな人間…

秘顔 ひがん

(以下少々「ネタバレ」しています)リメイク元である『ヒドゥン・フェイス』(2011年コロンビア・スペイン)と異なりこの映画では「消えた婚約者」であるスヨン(チョ・ヨジョン)がソンジン(パク・サンフン)とミジュ(パク・ジヒョン)を繋げたことが冒…

突然、君がいなくなって

予告に是非見たいと思ったのは、第一に「女同士の(文字をうつのも嫌だけど)ドロドロ」に使われてきた類の設定が書き直されるのを求めているから、第二に最近の映画ならアルモドバルの『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』でも女二人が同じ男と(同時にじゃない…

嬉しくて死にそう

レインボー・リール東京にて観賞、2024年フランス、アレクシ・タイヤン監督作品。フランス初のクィア・シニア団体「グレイ・プライド」のメンバー三人の語りを通じて老いとセクシュアリティのテーマを追うドキュメンタリー。話し合いの場における高齢者施設…

チャクチャク・ベイビー

レインボー・リール東京にて観賞、2023年イギリス。脚本監督のジャニス・ピューは北ウェールズの出身で、舞台はリバプール近くの小さな町。家の外への窓は開けつつ家の中で自身を守るようにイヤホンをつけているヘレン(ルイーズ・ブリーリー)と、父親が死…

ルノワール

昔ながらの一軒家から集合住宅に住むようになって何十年、いまだ慣れない一つは、昼間でも外の明るさが認識できず、玄関のドアを開けると思っていたより必ず明るいということだ…と再確認するオープニングの一幕で舞台が私(と、同世代である早川監督)の子ど…

セルロイド・クローゼット

デジタル・リマスター版をユーロスペースにて観賞。案外と内容を覚えていたけれど、今でも新鮮だった。古くなったところは多々ある、発言内容以前に当事者の少なさ、とりわけ登場する役者はほぼ「ゲイを演じたストレート」なのだから。『メーキング・ラブ』…

ラブ・イン・ザ・ビッグシティ

『大都会の愛し方』(2019年パク・サンヨン)の主人公ヨンはジェヒの言動に逐一、これがジェヒだ、ジェヒらしくない、やっぱりジェヒだなどと心に思う。小説は徹頭徹尾ヨンの語りであり、唯一その名前がタイトルとなっているジェヒも、いやタイトルになる位…

青いヴァイオリンの奇跡

アイルランド映画祭にて観賞、2024年アイルランド、アン・マッケイブ監督作品。大好きなパパとのお約束のやりとり「今日の最高と最悪は何だった?」を主人公モリーは一人でもし続ける。パパが昏睡状態になったあの日の最高は家族でビーチで過ごしたこと、で…

年少日記

ドビッシーの「夢」がこんなにも全編に渡って(変奏含め)流れる映画ってない。死んでもいない父親単独の写真がダイニングルームに掲げられた一家の、弟は弾けるが兄は弾けない。うなだれる兄へのピアノの先生の「大人でも難しい、二拍三連と八分を同時に弾…

テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ

監督が祖母との実体験を元に撮ったという本作の主演は93歳のジューン・スキッブ。前日『ブルー・ロード エドナ・オブライエン物語』で同年代のエドナのインタビューを見たところだし、オゾンの『秋が来るとき』やドラマ『天国より美しい』の「80歳の主人公」…

ブルー・ロード エドナ・オブライエン物語

アイルランド映画祭にて観賞、2024年アイルランド、シネイド・オシェイ監督作品。映画でよく見る場所が映った後、ウォルター・モズリイ(デンゼル主演で映画化された『青いドレスの女』の作者)が「ブルーカラーのハーバード」ことシティカレッジでエドナ・…

メモリーズ・オブ・アザーズ/あるパブとの別れ

アイルランド映画祭にて短編中編を同時上映で観賞。『メモリーズ・オブ・アザーズ』は2024年アイルランド、マーク・レッサー、ポーリン・ヴェルメール監督作品。ベトナム戦争の報道写真で知られる写真家の岡村昭彦が北アイルランド紛争の渦中に撮影した作品…

秋が来るとき

(以下「ネタバレ」しています)「ばばあの娼婦だ」と暴言を吐く老いた男、ルカの上級生らに偏見を植え付ける大人、ミシェル(エレーヌ・ヴァンサン)と親友マリー=クロード(ジョジアーヌ・バラスコ)それぞれの子はそうした環境で育ってきた。ヴァレリー…

フォー・マザーズ

アイルランド映画祭にて観賞。2024年アイルランド、レインボー・リール東京で見た『マッド・メアリー』(2016年アイルランド)も良かったダレン・ソーントン脚本監督、コリン・ソーントン共同脚本。ダブリンに暮らす作家のエドワード(ジェームズ・マクアー…

ハンサム・デビル

特別上映にて観賞、2016年アイルランド、ジョン・バトラー脚本監督作品。自分をさらけ出せと書かせた作文を皆の前で読ませるなんてと思ったら、新任の国語教師シェリー(アンドリュー・スコット)の目的はネッド(フィオン・オシェイ)がいつものように歌詞…

ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング

「一人の命を助けようとして世界を危機に晒している」とガブリエル(イーサン・モラレス)が言う、ということはそうじゃないんだと映画としては言いたいわけで、このシリーズってイーサン(トム・クルーズ)が女を助けようと頑張って失敗したり成功したりす…

6時間後に君は死ぬ/タイヨウのウタ

同日日本公開の韓国映画二本には、日本の作品が元という他に主人公がネイルで自己主張しているという共通点があった。理由は異なるけれど、そこだけしか出来なくて。 『6時間後に君は死ぬ』冒頭の、倉庫とコンビニのアルバイトを掛け持ちし、5万ウォンのブラ…

サブスタンス

男が女を主体として見ないことによる一つの事象、SNSでもよく言われる「男は若い女と老いた女は別の物だと思っている」が目に見える形で描かれている。「サブスタンス」は日本の美容広告のように「自分はただ一人」と尤もらしい、かつ自己責任に帰することの…

パディントン 消えた黄金郷の秘密

証明写真機の「赤い円の中に顔を入れて」が分からないのと英語が「きれい」(俗でない。俗が悪いということではない)なのは裏表だ。オープニングの「くまの暦で数年前…」に、パディントン(ベン・ウィショー)は暦も何もかもよその文化に合わせて暮らしてい…

ロザリー

アベル(ブノワ・マジメル)は肌の触れ合いを求めていながら戦争で負った傷を見せまいと娼館でも服を脱がないが、妻ロザリー(ナディア・テレスキウィッツ)の「普通」より毛の多い胸元はランプをかざして確認する。この映画における明かりの操作は彼による…

サンダーボルツ*

フローレンス・ピューの顔がいいなと見に行ったらピュー演じるエレーナの顔で始まって終わる。それがどう、なぜ変わるかという話である。故ナターシャ共々姉妹というかまた女がケア要員なのかと見ていたら(冒頭だって「父親」のアレクセイ(デヴィッド・ハ…

ヴェルミリオ

イタリア映画祭にて観賞、2024年マウラ・デルペーロ監督作品。「土曜の午後の成人向け読み書き教室」で生き残ったことをどう思うか聞かれ「親友が隣で死んだ、それは自分だったかも、だから生きているのに生きていないような気持ち」と答えたピエトロの、次…

ディーヴァ・フトゥーラ

イタリア映画祭にて観賞、2024年ジュリア・ルイーズ・スタイガーウォルト監督作品。リッカルド・スキッキ少年(長じてピエトロ・カステッリット)が父親から贈られた望遠鏡で覗き「家の中と外出する時とじゃ全然違う」と感動する女性達の姿は、よそゆきじゃ…