DOG DAYS 君といつまでも


「獣医の指導のもと安全に撮影しました」との文のあと、予告編にも使われている、ミンサン(ユ・ヘジン)が持ちビルの自宅から出勤する際いつものように犬のうんこを踏む場面で映画が始まる。コメディふうにだけどもまずは犬を飼うことの大変さが描かれる。うんこの話から、歯磨きが必要なこと、何でも食べてしまうこと、安楽死の問題まで。保護施設のプレートに書かれた日付は二週間後の安楽死の予定日だとも。犬の装身具に怪我した箇所を保護する役目もあるとは知らなかった。

ヒョン(イ・ヒョヌ)がカップラーメンを食べ終わり場を離れると引き取った犬のスティングが容器を舐めており、そういや餌をやっていなかったと気付く。食べてないなら言ってくれと思わず口から出てしまうが、犬は人間と話せないのであって、後にミンサンに対して動物病院の院長ジニョン(キム・ソヒョン)が言う「犬の飼い主が一番聞きたい言葉は愛してるじゃなく『苦しいよ』」が大きく響く。話せる人間同士でも、「捨てられた」子どもの心の内を知るのは難しいということも描かれる。

群像劇の形だけども話の柱は明らかにミンサンで、犬嫌いの彼が犬を愛するようになるというありがちな過程に色々なドラマがある。仕事のプレゼンの場で急に話を振られ、ビルの人達とのやりとりから犬と一緒に楽しめる施設の開発をひねり出すのがまず楽しい。考えを変える切っ掛けが「富裕層は海外に行くのだから彼ら向けのリゾートなんて国内には不要」と気付かされてというのも、はっきり言う映画やドラマは見たことがないから面白かった。

考試院に住み宅配のアルバイトに明け暮れるジヌ(タン・ジュンサン)に、著名な建築家のミンソ(ユン・ヨジョン)が「青春時代は貴重なのに、若者が生活のために一日中働かなきゃならないなんて大人として申し訳ない」とチャンスを贈るのが作中最も心に残った。保護犬を引き取るにも限りがある、引き取れない場合もある、でも出来る人が出来ることを、そしてそのことに責任を持たねばという話である。