
コリアン・シネマ・ウィーク2025にて観賞、2025年チョ・ハンビョル監督作品。定型すぎながら悪くないお話だけど、見せ方がうまくなく勿体ないと思った。ジェ二―(カン・ジヨン)がみそおじや?をくそ旨い!と食べるあたりまでは入り込めなかった。テンジャンイ(イ・ジュウォン)が「おじい」(ユ・スヌン)が死んだらどうしようと増やしてきた家族の中でも犬達が殆ど役に立っていないのがよかった。いるだけでいいんだから。
事故で両親を亡くし金の他には何も信じず生きてきたジェニーが、親はいないがおじいに拾われ智異山の奥に暮らす少年テンジャンイに出会い信じることを学ぶ話である。信じなければ生きてこられなかった彼の方も、映画の終わりのジェニーの「私はうそつきだから…」に人はうそをつくことがある、自分はそれを許すことができると涙目で学ぶのが心に残る。テンジャンイが「マザーもいる、マザーネイチャーだ」と雑誌の表紙を見せるのに奇妙な真実味があるのがこの映画の魅力で、彼が張られた紐より外に出られないのは(動けなくなったおじいの知恵なのだろうが)子どもが探検できるのは保護者の目の届く半径どれだけかということ、つまり山の力が及ぶ範囲がそこまでなのだろう。
面白かったのは、詐欺師であるジェニーの他にお宝の千年参酒を狙っているのが地元の青年会だというところ。詐欺師の先輩だが今は「ブランド喫茶」を経営しているオンニのヘスが冒頭「ここでは私が一番若い」と言うが、日本でも言及されるように青年会のメンバーに青年はいない。70代だというチュンボン(実年齢はもっと下のイ・ムンシク)を始めとするメンバーが不老不死の酒を欲するのは自分達がいなくなったらここいらはどうなるんだという憂慮が裏にあるようにも思われて、憎めなかった。