グッドモーニング・プレジデント



三代に渡る韓国大統領の「素顔」をオムニバス風に描く、チャン・ジン監督作。
任期満了を控え宝くじに当たってしまう大統領その1(イ・スンジェ)、一青年にあることを嘆願されるその2(チャン・ドンゴン)、初の女性大統領となるも夫婦間の問題に悩まされるその3(コ・ドゥシム)といった具合。


小奇麗なセットに泥臭いギャグ、「愛」のシーンには感動的な音楽という、韓国ドラマに疎い私がイメージする「正統派韓国ドラマ」という感じの作品。もっとも作中では「韓国ドラマ」が愛をもってネタにされており、大統領夫人が「今日は○○が死ぬ日よ」と泣くために観ているのが可笑しい。


「私たちは大統領を特別な人だと思っていますが、彼らも妻であり夫であり親であり、その喜びや悲しみは我々と同じなのです」…というラストのナレーションは、大統領官邸のシェフによるもの。主は変われど屋敷変わらず、というわけで狂言回し的な役割を担っている。一人目が彼との会話の後にある決意をするんだけど、唐突に感じられ戸惑っていたら、二人目も厨房を訪れあることを決めるので、こういうパターンなんだなと分かる。三人目に至っては「悩みがあるときは訪ねるよう言われたの」と口にする(笑)


普段観ている韓国映画の、小さな座り机の前での食事も美味しそうだけど、大統領官邸のメニューも楽しい。忙しい彼らが落ち着いて取れるのは朝食だけ。「普通のおじさん」はごはんとおつゆ、新聞を読んで妻に「後にして」とたしなめられる。「若きシングルファザー」は西洋風のプレートを前に、朝からミーティング。彼が厨房で食べるインスタントラーメンと「市販の」キムチが美味しそう。「初の女性大統領」の誕生日の朝食は、とあるトラブルのためふいになる。「女性の大統領は韓国の母であり妻であり嫁であり…」というセリフに、そりゃ大変すぎると思わせられた(笑)