
マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルのオンライン上映にて観賞。2024年フランス、デルフィーヌ・ドロジェ監督作品。
シングルマザーのシルヴィ(ヴィルジニー・エフィラ)が夜の店で働く間に火傷を負った幼い二男ソフィアンは児童相談所によって施設に連れていかれてしまう。面会は水曜日と、疎遠な兄を頼って昼間の仕事に就いたのに勝手に決められてしまう。面会時の話の内容も(「楽しい話だけして」と!)規定され、暴れれば子どもも自分も投薬される。子どもの安全が最優先とはいえ個々の事情が無視され一定の家族の枠に嵌められてしまうという問題を描いた、拘束なんかされないぞという話である。
システムが家庭を枠にはめようとする歪みは、親しい者の間における実に詮無いやりとりに表れる。兄JJと弟ソフィアンの(児相のスタッフが来た際)「なんでドアを開けたんだ」「なんで寝てたの」なんて軽口の応酬は、終盤にはシルヴィとJJの「あの時、なんで家に入れたの」「あの時、なんで電話に出なかったの」というきついものへと変わる。仲間内でのパーティや同じ境遇の者同士のグループセラピーでシルヴィがいてもたってもおられず爆発してしまうのも拘束への反発と言える。
この映画には二つの大事なことが描かれている。一つは親が現実を唯々諾々と受け入れるのは子どもにとってよくないということ。システムの弊害が端的に表れている面会時間の厳守を、ソフィアンは受け入れようとしない。そりゃそうだ、子どもが親から引き離されるなんておかしい。もう一つは拘束から逃れようとする者が他者を拘束している可能性があるということ。シルヴィは心優しく本心を表に出せないJJを自身が拘束していたことに気付く。身近な者こそ相手を縛りも解放もできる。車で発つ親子を送るThe Dead SouthのYou Are My Sunshineは、マイナー調ながら私達を元気づけてくれる。