見えない目撃者


オリジナルは見ていないんだけれども、これは他人を気に掛けるという最大の美徳を持つ四人がチームとなり「いなくなっても誰も気にしない」弱者を踏み潰す悪と闘う物語である。だからこの映画で最も大切な場面は主人公なつめ(吉岡里帆)の「うちに来る?(略)ご飯だけでも」とその後の少女の笑顔。ちなみに最も燃える場面は田口トモロヲ演じる木村の「たかはし~」。今年劇場で一番体温が上がった。「定年後は(略)」のタイミングもまあ、ずるい(笑)

視覚障害にまつわる描写は鮮烈ながら、犯罪の方には調査による真実味も寄り添いも感じられない昔ながらの作品だけれども、全編が愛で貫かれている感じがしてそれがいい。追われるなつめが道々助けを求めても応じてもらえないのが更に地下鉄の駅構内で周囲が無人になるのは社会の冷淡さを表してるように思われたけど、そんな時でも場面そのものには不思議と愛が感じられる。

(以下少々「ネタバレ」)

犯人は「いなくなっても誰も気にしない」弱者を選るのに「親が無関心であること」という視点を利用する。選ばれた少女達は春馬(高杉真宙)が風俗店で目にする光景、刑事二人が犬が吠えた先の小山に見る光景で強調されているように「量産品」のような容貌を備えている。映画はそれを彼女達が親の庇護なしで生存するための手段、あるいはそうでなかろうと、どんな理由だろうと馬鹿にされる筋合いはないものとして描いている。優しい視点だがこれらの要素は私には随分古いように感じられた。「警察官でなければ知り得ないこと」から犯人に近付くという要素にNetflix「アンビリーバブル」を思い出したのでつい比べてしまったものだけど、そりゃあ比べるのは分が悪すぎるけど、例えば自分に関心を持っている人間がいようと苦悩がある、弱者になり得る、ということも描いているあの作品の新しさ、精緻さには敵わない。