2024-01-01から1年間の記事一覧

学校をつくる、難民の挑戦

難民映画祭のオンライン上映にて観賞。原題The Staging Post、2017年オーストラリア、ジョリオン・ホフ監督作品。2013年、オーストラリア政府に受け入れ拒否された主にアフガニスタンでのタリバンの迫害から逃れてきたハザラ(民族)の人々が留まるインドネ…

新宿ボーイズ

OUTCAST FILM FESTIVALを機にMadeGood.filmsで見られると気付いて観賞、1995年イギリス、キム・ロンジノット監督作品。歌舞伎町の「おなべバー」ニューマリリンで働くガイシュ、カズキ、タツのホスト3人を捉えたドキュメンタリー。気心の知れているであろう…

画家と泥棒

MadeGood.filmsにて観賞、2020年ノルウェー、ベンジャミン・リー監督作品。2015年にオスロのギャラリーで起きた絵画盗難事件を切っ掛けに始まる画家と泥棒の交流を描くドキュメンタリー。映画の作りが凝っている(ように見える)ため、あんなにも色々なこと…

DOG DAYS 君といつまでも

「獣医の指導のもと安全に撮影しました」との文のあと、予告編にも使われている、ミンサン(ユ・ヘジン)が持ちビルの自宅から出勤する際いつものように犬のうんこを踏む場面で映画が始まる。コメディふうにだけどもまずは犬を飼うことの大変さが描かれる。…

愛知の民俗芸能 聖なる祭り 芸能する心/愛知の民俗芸能 都市の祭り 芸能する歓び

TIFF/NFAJクラシックスの映画監督吉田喜重特集にて、愛知県が企画したビデオ作品二本を観賞。制作は1992年・1993年。愛知県各地に存続する祭事を記録したドキュメンタリーなんだけど、始まって数分で、これらは全て「作り物」なんじゃないかとの思いが湧き上…

シマの唄

東京国際映画祭にて観賞。2024年スペイン/オランダ/フランス/台湾/ギリシャ/アフガニスタン(撮影はギリシャで行われたそう)、ロヤ・サダト脚本監督作品。1978年のアフガニスタン、「革命の犠牲者」の娘として裕福に暮らす共産主義者のスラヤ(モジュ…

大丈夫と約束して

東京国際映画祭にて観賞。2024年スロバキア/チェコ、カタリナ・グラマトヴァ監督/脚本/編集/原作作品。「あなたくらいの歳の時はこの村が大嫌いだった、私もおばあちゃんと二人きりだった、部屋だって同じ、でも私にモペットはなかった、それが失敗だっ…

シングル・イン・ソウル

そうだった、本を作るのには糸が要るんだったと思い出すオープニングからの、作り手から読者まで含む「みんな」の本の映画。友情出演のチョ・ダルファンによる詩人の新刊イベントの場面が印象的で、空だった会場がヒョンジン(イム・スジョン)始め出版社の…

ドルフィン

コリアン・シネマ・ウィーク2024にて観賞、2022年ペ・ドゥリ監督作品。主人公ナヨン(ユリ)がご飯だよと呼ぶのに子どもが出てくるのかと思いきや食卓に付くのは高校生のソンウン(ヒョン・ウソク)。弟の朝食は勿論、母ジョンオク(キル・ヘヨン)が経営す…

五香宮の猫

「観察映画第10弾」との文言にもう10作目かと見始めたら、これまでになく監督がカメラの内とやりとりする。外から見たり聞いたりする立場からどんどん離れている…進んでいるってことだろう。「紙を二枚もらったから監督とパン屋さんのところへ行く」と宿題の…

やぶれかぶれ一発勝負!!/マーシャン・チャイルド

特集上映「サム・フリークス Vol.29」にて愛するジョン・キューザック二本立てを観賞。▼『やぶれかぶれ一発勝負!!』(1985年アメリカ、サヴェージ・スティーヴ・ホランド脚本監督)のような映画を見ると私としてはZAZはやはり別格だと思ってしまうわけだけ…

ジョイランド わたしの願い

病院のベッドに横たわり「出生前診断では男の子だったのに…」と沈み込む一家の長男の妻ヌチ(サルワット・ギーラーニ)の様子に、冒頭無邪気に遊んでいた三人の娘が違って見えてくる。この映画で一番印象的だったのは、彼女達が母親や叔母であるムムターズ(…

リュミエール

「映画作家ジャンヌ・モロー」特集にて観賞、1976年フランス作品。私が生まれた頃に、今の私くらいの年齢のモローが手掛けた監督第一作。お付き合い中のトマ(フランシス・ユステール)に食事に誘われれば一人でいたい、花を送ったと言われれば赤い花は嫌い…

HAPPYEND

外国映画の中の日本にままある、うちら英語表記を使ってるよという箇所がわざわざ日本語に訳され(更に言うなら使わない類のフォントがあてられ)ている描写には白けてしまうが、この映画の「第一処理場」に始まる日本語表記の数々にはそれを感じない。監督…

花嫁はどこへ?

冒頭の旅の様子を随分冷たい夫だなと見ていたら、後の歌の歌詞によるとどうやらこのディーパク(スパルシュ・シュリーワースタウ)は極めて普通の男で妻プール(ニターンシー・ゴーエル)を愛しているらしい。それなのに道中妻の顔も見ず手も取らないなんて…

Cloud クラウド

転売目的で商品を買い叩きに来た吉井(菅田将暉)に向かって町工場の社長の妻(山田真歩)が言う「何の努力もしないで…」が額に汗して働きもせずという意味ではないように聞こえて引っ掛かったのが、次第に彼に欠けている(と周りが思っている)ものはいわゆ…

あの夏のアダム

トランスジェンダー映画祭とノーマルスクリーンのコラボレーションによる配信にて観賞。脚本は原作小説を書いたアリエル・シュラグ、監督はリース・アーンストによる2019年アメリカ作品。 シスヘテロ男性の高校生アダム(ニコラス・アレクサンダー)が姉ケイ…

西湖畔に生きる

ドラマ『SHERLOCK シャーロック』(2010)で面白かったのが、アイリーン・アドラーに全裸で臨まれるとさしものシャーロックも手がかりが得られず何も読み取れないというくだり。裸とは文脈から解放されているということなのだと、この映画の終盤の、全裸で山…

石がある

映画は誰にでも開かれているけれど、若い女性が色々な男性に出会うという物語には何かしらの意図があると受け取らざるを得ない(意図がないならばそこに思想が表れていることになる)。当初は、主人公(小川あん)が停車中のトラックの運転席の高齢男性に声…

本日公休

母アールイ(ルー・シャオフェン)の不在の理由を求めて元夫チュアン(フー・モンボー)の整備工場へ出向いた次女リン(ファン・ジーヨウ)が、彼が車の牽引を頼まれ同行できなくなったと聞いて言うことには「あなたは優先順位をつけない、何が重要事項か分…

ぼくが生きてる、ふたつの世界

Netflixのドキュメンタリー『ろう者たちのキャンパスライフ』での女同士のカップルの「私達はハグと会話を同時にできない」が印象的だったこともあり、この映画で主人公・大(吉沢亮)に暴言を吐かれた母・明子(忍足亜希子)が父・陽介(今井彰人)の仕事場…

母と娘 完全な夜はない

ジョージア映画祭の「母と娘 ヌツァとラナ」特集にて観賞、2023年制作、ラナ・ゴゴベリゼ監督95歳での最新作。先日発売された自伝『思い出されることを思い出されるままに』を読んだばかりなので比べながら見てしまい、馬鹿みたいな感想だけど、文学と映画の…

ぼくのお日さま

冒頭『月の光』で踊る少女さくらを捉える少年タクヤ目線の長々とした映像に、男に目をつけられるとろくなことがないと分かっている身としては、これがどういう類の感情でどう表出されるのか早くはっきりさせてほしいと思いながら見ていると、どうも彼は彼女…

ヒットマン

グレン・パウエル演じるゲイリーが登場する大学の講義にて後ろの席の男子学生の「あいつの車、シビックだぜ」からの、White & NerdyのMVでのアルかと思うような姿勢で運転して帰る姿からの、猫達との夕食にかぶるナレーションの「特技を活かして…」で射撃の…

リリー・マルレーン

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選にて観賞。学生時代にレンタルビデオで見たけれど内容はすっかり忘れていた。彼が出ていてこそのファスビンダー映画だと思うハーク・ボーンがこんなに大きな役どころだったことも。彼演じるピアニストのタシュナ…

ナミビアの砂漠

冒頭カナ(河合優実)が「どうしたの、元気ないね、食べてないじゃん」と女友達のドリンクを一口すくって差し出すのは自分もやりそうだと思う、何となく。「ぼく?」「すぐに?」とハヤシ(金子大地)の言葉をそのまま繰り返すのも自分がやりそうだと思う、…

ロビンソナーダ 私の英国人の祖父

ジョージア映画祭のよみがえる歴史的名作特集にて観賞、1986年ナナ・ジョルジャゼ監督作品。映画祭のプログラムによれば脚本を書いたのは彼女が師事したイラクリ・クヴィリカゼ監督、当局の許可を得て撮影を開始するまで5年が費やされたんだそう。私が唯一見…

自由の暴力

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選にて観賞。ファスビンダー自身が演じる生首芸人フォックスこと「フランツ・ビーバーコップ」が全身で登場した時なぜか股間に目が行き…「ちんこを持つ存在」にしか見えなかったから…ちんこのことしか考えられなく…

パン屋の記録

思い出したようにごくたまにする、外で食べたものの記録。 大好きなル ビアンのパンが池袋の西武で買えなくなり残念だと思っていたら東武の方にカフェ付店舗がオープン。早速寄って限定メニューのブリオッシュ・トロワサンドを注文。ブリオッシュは美味しく…

ひとつ空の下 3つのエピソード

ジョージア映画祭のラナ・ゴゴベリゼ監督特集にて観賞、1961年作品。女性が主人公のオムニバス映画というので今年のイスラーム映画祭で見た『私が女になった日』(2000年イラン、マルズィエ・メシュキニ監督作品/感想)を思い出した。あちらが三世代の女の…