ミッション:8ミニッツ



なんてロマンチックで可愛らしい映画だろう!終盤のストップモーションに涙があふれた。


(以下「ネタバレ」しています)


冒頭、戦地の記憶から列車内で目覚めるという展開に「ジェイコブズ・ラダー」を思い出した。もっともこちらの電車は中二階席やダンキンドーナツ!に自転車置き場などがあり、ニューヨークの地下鉄とは比べ物にならないほどゴージャスだけど(通勤列車というので「恋におちて」を連想)。なお「ジェイコブズ〜」と本作じゃ内容や文法は全く違い、どちらにもそれぞれの良さがあるけど、「死」が救いになるというところは似通っていた。


原題「Source Code」とは、人間の死亡直前の8分間の意識に入り込むというプログラム。ジェイク・ギレンホール演じる主人公の任務は、列車爆破事故の被害者を利用したプログラムの中で「8分間」を繰り返し、犯人を見つけ出すこと。ジェフリー・ライトによる博士が「量子が云々」と説明するんだけど、私にはよく分からない。ラストに出てくる「オブジェ」から、この映画では、あれはああいうことなんだ(なのかな?)と解釈した。


ダンカン・ジョーンズ監督の前作「月に囚われた男」(感想)同様、昔の少女漫画みたいだなと思わせられた。映像において、主人公が「自分が思う自分」のルックスをしているというのがまず「綿の国星」方式ぽい(鏡などには他人の目による姿が映るんだけど)。


ヴェラ・ファーミガ様のファンとしては、彼女が登場直後「私は誰?」とモニターに顔を近づけてくる場面に悶絶。本作ではミッションの内容とミッションそのものの謎が同時進行するが、主人公視点には徹さず、早々にファーミガ様(たち)の様子を「客観的」に映し出すことで、恐怖を和げている。彼女はこの映画の「優しさ」の象徴でもあった。