デンジャラス・バディ



今年一番楽しみにしてたと言っても過言じゃない、サンドラ・ブロックメリッサ・マッカーシーのバディもの。ニューヨークのFBI捜査官アッシュバーンと地元ボストンの刑事マリンズのコンビが…って、やっぱり役名じゃなくサンドラ&メリッサと書く(「役名」の方は二人とも「苗字」なんだな)


すごく大したことある映画、じゃないんだけど、とても幸せな気持ちになれたので、今年のベストテンに入れようかな。まずセリフのセンスが超好みで、二人のやりとり「髪留めを外せば」「あなたもしてる」「てっぺんにするのは普通」なんて、文字にすると他愛なさすぎるけど、にやにやしちゃう。
メリッサの口から出てくる全てが最高。脳味噌フルスロットルの女を見る気持ちよさ。日本で言う「女子力」なんてくそみたいなもんにエネルギー割いてたら生じない快感だ。


オープニング、二人の人となりが描かれる。仕事中に「サイン」を使うが通じず「マニュアルを読んでよ」と愚痴るサンドラは、後に上司に「お前がいるとなぜか上手くいかない」と言われ落ち込む。夜はソファで、よその猫とパック入りの中華。この猫、隣人いわく「変なおばさん」の彼女のことが好きなのでは、と思う(笑)
一方のメリッサは「娼婦を買う男」を取り締まる…というより「懲らしめる」。すらりとした脚の女の子達と車を挟んで左右対称のポーズを取るというギャグ?が「自然」でいい。後に彼女がサンドラに「(「くだらない」)男はホットパンツが好き」とアドバイスするのは、この仕事中の観察によるんだな(笑)
このくだり、見ている時は長過ぎると思ったんだけど、振り返ってみると、互いの「自由意志」でセックスを楽しむメリッサは、金で女を買うという行為がとりわけ「許せない」んだろうか?合意の上でセックスをしたのに付き合いを迫られるというのは「(500)日のサマー」のサマーと同じ、真面目なんだな(もっとも「サマー」のように「女が愛情なしにセックスするわけがない」という社会通念に悩まされる、というニュアンスは無いけど)


作中、明白に「女嫌い」とされるキャラクターが一人出てくる。初対面時に彼が「女は感情的だから…」とお馴染みのことを口に出す前に、サンドラへの「膝より上まで毛は剃っとけよ」との言葉に、メリッサが女への敵意を「感知」して反撃する。サンドラも「女だって毛が生える」と捨て?ゼリフ。この時点ではまだいがみ合っている二人の、これが初めての「共闘」というのが面白い。
「ホットパンツ」姿のサンドラに手も無く落ちた別の(「悪役」の)男は、後に彼女が捜査官だと知り、会う度に「昼間に見るとおばさんだな」「ますますブスになるな」とけなしてくる。でも私からしたら、映画が進むほどにサンドラもメリッサも輝きを増している。「幸せになる」ってのは、男女問わずくそからブスと思われてこそなのだ。
加えて印象的だったのは、前半、二人が必要から?相手の胸や股間を触るはめになりぎくしゃくするんだけど、終盤親しくなると、意味も無く触っても特に何でもないという様子。私には分からないけど、あれが仲がいいってことなのかな。


(これが男主役の映画なら「ヒロイン」とされる)マーロン・ウェイアンズの素敵なこと!主役二人よりは有能じゃないけど見目麗しく、自分(サンドラ)のよさを認めてくれる…ってなんて都合のいい男。だけどとても彼にはまってる。これまで映画で色んな女を見てきてあげた?替わりに許してねって感じ。
それから、同じ監督作の「ブライズメイズ」にもあった「駐車ネタ」(というのか)が嬉しい。とくに警官ものにおける駐車ギャグは文句無しに好き(笑)自慢じゃないけど私も車の運転、すごく雑だし!
冒頭と終盤に出てくる警察犬が全く役に立たないのもいい。犬だからって役に立たなくてもいいんだよ、居るだけで。