帰ってきた正直政治家 チュ・サンスク


シネマート新宿の「のむコレ」で見た『正直政治家 チュ・サンスク』(2020/感想)の続編を、武蔵野館の「ポムミチョッタ! シネマコレクション」にて観賞。2022年韓国、同じくチャン・ユジョン監督作品。

一作目でラ・ミラン演じるチュ・サンスクが嘆いていたように、政治家が嘘がつけなくなろうと「男ならここまでのことにはならない」。青瓦台に集められる知事が彼女以外みな男性であるなど諸所で同じことを示しながらも、今回は何がどうなるのかというと、チュ・サンスクに加えて男は男でも暴言を吐きそうにない忠実で柔和な秘書のヒチョル(キム・ムヨル)も嘘をつけなくなる。これが続編ならではの、かつ本作一番の面白さ。

嘘がつけなくなったヒチョルの口から出るのはボスのチュ・サンスクは「性悪」「ぼくをこき使う」「かつらがひどい」。なぜ一緒にいるのかと思いながら見ていると、次第に根っこが見えてくる。物語の切っ掛けとなる救助に表れていたように、人命第一という点が同じなんだと。だから敵の危機にも二人して躊躇なく手を伸ばす。夫のマンシク(ユン・ギョンホ)もその妹のマンスン(パク・チンジュ)もその元に怒りで団結する。冒頭のチュ・サンスクが決して迷いなく海に飛び込んだわけではないように、ウ・ミファ演じる親友の言葉を受けての「私もクズだけどもっと酷いクズは許せない」というところ、それを中年女性が演じているところが肝だ。

DOG DAYS 君といつまでも』(2024)でも似たようなことに言及していたけれど、本作は江原道の知事となったチュ・サンスクが「こんな高い家は投機家しか買わない」「庶民が住める家を作らなきゃ」と開発案を却下しまくるところから話が始まる。悪徳業者はそれなら手頃な住宅とセットでと彼女を丸め込み、悪評を流して「貧乏人」を追い出すという手に出る。ヴィランである若く見目のいい(チュ・サンスクの本音も「かっこいい!」)建設会社のCEO(ユン・ドゥジュン)が地方の土地や人を食い物にしているという設定は、犯罪都市シリーズや模範タクシーシリーズなどで近年当たり前のようになった「実話が元」感はなくともいいところを突いていると思う。