三遊亭白鳥「殿様と海」
三遊亭円丈「新ぐつぐつ」
(中入)
三遊亭白鳥「隅田川母娘」
三遊亭円丈「ランボー怒りの脱出」
(9/18・国立演芸場)
オープニングトークで先日の台風の話になった際、円丈が、大阪に向かう道中の橋の上で「考えこんじゃった(=停まってしまった)」新幹線に「なって」みせるのを可笑しく思っていたら、続く高座では、白鳥さんが釣竿やマグロになってくれる。ちなみに自身だけじゃなく、座布団もマグロになる(笑)
円丈はお馴染みの焼きトウモロコシの枕から屋台ネタで繋げて、少々季節が早いんじゃ?と思われる「新ぐつぐつ」。こちらも糸こんになったりはんぺんになったり、でも一番笑っちゃうのは、ちくわが自分の穴に詰まった銀杏を取り出してみせる仕草(笑)ここでふと、この親子会ほど、噺家の(着物がはだけての)ナマ腕をたくさん見られる落語会ってないんじゃないか、なんて思う。
白鳥さんの高座は、よく出来てる「内容」と独特の「語り」のバランスが取れてる時が一番面白いんだけど、「殿様と海」は海へ出るまでが長い!こともあり、後者ばかりに重きが置かれてるように感じて少々じれてしまう。その点(小ゑんの作品だけど)「新ぐつぐつ」は何十年ものだけあり?「語り」の楽しさに気を取られてるうちにちょっとしたドラマが待ち受けているという、替え難い面白さがある。この日は昔の親子会でよくやっていた「ネタ交換」などじゃなく、白鳥さんが新しいネタ、円丈が円熟のネタを見せるという、何気にあまり無いタイプの会だったように思う。これはこれで違いが味わえて面白い。
「殿様と海」には釣り好きの実体験が活かされてるけど、中入後の「隅田川母娘」は、「嫌なことを体験したら何としてもネタにしてやろう」という心意気で作られたセレブもの。これは国立演芸場で聴くことに意義がある!全編楽しいけど、印象的だったのは「お前さんはどこの町内会なんだい?矢来町とか要町とか」って、志ん朝と自分と同列かよと。でもそういうとこ好き(笑)
最後は私は久々の「ランボー」。ヘリコプターになって乱れた頭の円丈のお辞儀でシメなんだから最高。