三遊亭円丈独演会


開口一番(三遊亭ぐんま「グレコ奮闘記」)
三遊亭円丈「ランゴランゴ」
三遊亭はらしょう「いらっしゃいまピー」
三遊亭円丈「前座生中継」
 (中入)
柳家小ゑん「顔の男」
三遊亭円丈「競走馬イッソー」
 (5/27・お江戸日本橋亭


開口一番(とは言わないのかな、めくりもあるし)のぐんまさんが実に「白鳥さんの弟子」で驚いた。枕での(話の理解を助ける)説明、作中の仕込み、クライマックスの座布団芸。弟子二人がちゃんと古典落語の仕草を身に付けているのが面白い。先日のあおもりさんの高座のような古典ならよその師匠に稽古をつけてもらったんだなと思うけど、新作の時は不思議だ(笑)
この日は体の空いている弟子・孫弟子が総出という感じで、客席と高座だけじゃなく楽屋と高座も繋がってるようだった。円丈のかつてはカンペ、今は台本に歴史ありだけど、めくるのが大変そうだから、「譜めくりの男」を置いてみてもいいのではと思った(笑)


二席目の「前座生中継」に登場する円生いわく「第一声がその芸人を表しているんです」とのことだけど、この日の円丈は勿論?上るなり「認知症の円丈です」。円丈って結局、落語界では新たな道をゆく人なのだと思った。
言っちゃあ何だけど円丈の枕はほぼ知ってるネタのローテーションだと思っていたのが、「ランゴランゴ」が枕も含めて新しくなっていたので驚いた。「前座生中継」は4、5年前に作った噺とのことだけど、今聞くと「落語の仮面」とかぶるよね(笑)もっと練習したかったとのことだけど、とても面白かった。パニックになり「時そば」を始めてしまう前座、というのがツボに入る(これが柳家というのが可笑しい)


ネタ出しされていた「競走馬イッソー」は「円丈落語全集1」にも収録されているし知ってはいたけれど、聞くのは初めて。日本ダービーで負けたのが悔しくて何かで取り返したいと作った噺だそうで、ダービー前日に聞くにはぴったり。志ん朝が寄席でリクエストして祝儀をくれたという逸話から、志ん朝についても話してくれたんだけど、聞き知った内容ながら語り口は初めてのものだった。変な言い方だけど「生き直した」という感じを受けた。
噺に入る前にいわく「内容は今では古いと思うんです」「カットバックを使ってるんです、聞いてる方は何気なく聞くと思うんだけど、それが効果的で」「本当は颯爽とした話なんです」等々(大意)。クライマックスで確かにカットバックが使われているけれど、それより映画的なのは挿入される男二人のやりとり。



今回の会はCD発売記念も兼ねていたので、会場で購入して高座でサインをもらった。「一席目はまだ正気だったころ」(笑)聞いたら確かにそうだった。