ヨチヨチSWAN 第25回


三遊亭白鳥「落語の仮面 第6話」
 (中入)
三遊亭白鳥「落語の仮面 第9話」
 (4/29・お江戸日本橋亭


オープニングトークで上るなり「これからは(全ての高座につき)ネタ出しすることにした」(自サイトで実行済)。いわくお客さんもその方がいいだろうし、古典じゃないから他の演者と「つく」ことも無いしと。聞きながら、落語の世界が生きて変わっていくのに立ち会っている感じがして嬉しかった。それから相変わらずの師匠ネタ(笑)詳しくは書かないけど、初めて聞いた「前座時代に師匠に自分が作った噺をつぶされないようにしていたこと」の話に声が出てしまった。


前座のあおもりさんのこれもネタ下ろしが、全篇ほぼ独り言(笑)だったので(円丈と喬太郎が合わさったようなネタだった)、そのぶん白鳥さんの語りの上手さが目立った。少女漫画の連載で言えば「番外編」的な第6話、村長の娘(実は違うんだけど)が大女で父親の長が食事を運んでくるなんて描写にモアナかよと思ったけど、まあ全然違う話(笑)それにしても知らなかったよ、寄席に掛けて最も客に引かれる新作の設定が「タイムスリップ」だってこと。


第9話は、ネタ下ろしなのに既に傑作だった。「『三大噺リレー対決』の話を落語で聞く」ってのがまず楽しい。二つ並んだ高座の真ん中に箱が置いてあるという舞台装置にわくわくするし、「落語内落語」に挟み込まれる「客による説明」「演者の心情」「演者の、その時点で考えたサゲ(これが最高・笑)」に盛り上がる。「お題が出揃ってからが難しいんだ」とはしじゅう三大噺に挑んでいる白鳥さんの実感だろうし、花の大逆転が「仕込み」によるのもいかにもで楽しい。これまで聞いてきて、「真澄さま」のヒーローぽさと花とあゆみのやおい感はさすがに無いなと思ってたものだけど、今回は、前者はともかく後者は多少漂っていた。