池袋演芸場九月下席



三遊亭ふう丈「電気ショック」
春風亭百栄「フェルナンド」
三遊亭丈二「リサイクル課長」
笑組(漫才)
林家彦いちマイナンバー〜お前はもう死んでいる〜」
柳家小ゑん本田宗一郎物語」
 (中入)
古今亭駒次「生徒の作文」
林家しん平「鬼ヶ島伝説」
ストレート松浦(ジャグリング)
三遊亭白鳥かわうそ島の花嫁さん」
 (9/29・池袋演芸場


久々の池袋演芸場。机の使える二列目から埋まっていたので初めて最前列に座ったんだけど、悪くない。近けりゃいいってもんじゃないし、漫才の時は随分見上げるけど(「落語用」なのかな?)それぞれの新たな良さを味わえる、感じがした。
丈二の「ここは高座より客席の方が明るくて、そっちでこそ何か始まりそう」も面白かったけど、それを聞いてか聞かずか彦いちの「こっちから見ると理事の総会みたい」とはやっぱり枕が上手い(笑)


ふう丈の「電気ショック」は前座時代に聞いたことがあるけど、扇子の「骨」なんてあったっけ?円丈でさえも「たぬきうどん」で「扇子を二本!」というのを強調してたのに、二つ目の時から三本、使っていいんだ〜などと楽しく思う(笑)
彦いちいわく「下席八日目のここまで前座以外に古典は一切無し、こんなの珍しい」。そっか、定席ならそうか(笑)「『江戸の風が吹く』なんて言う人がいるけど、小三治を聞いたって、吹くのは『今の風』のはずなんだ」。相変わらずの白鳥ネタ枕が嬉しい、って考えたら一緒に出る時ばかり来てるんだから当たり前か。でも共演する時はいつも枕にするってことだ(笑)
小ゑんの「本田宗一郎物語」が聞けたのは嬉しかった。「時間までの抜き読み」「昨日少年時代をやったので、今日は続きを、好きなところだけ」という言い方をしてたけど、その「好きなところだけ感」とでもいうようなものがいい。所作も色々だし言い立てもあるし、「思うに」「というのは嘘」の部分が楽しい。


白鳥さんのネタ出しのうち「かわうそ島」だけナマで見たことが無いのでこの日に出向いたんだけど、行ってよかった。幕が下りる時にお札のレイを持って駆け寄りたいくらいだった(じゃあやれよって感じだけど・笑)リクエスト特集なので封印したネタも演ることになった、聞けば封印した理由が分かる、と始まったけど、いわば逆だった。昨年あたりに白鳥さんがよく言っていた、「話を伝える技術」のことを思い出した。「無茶苦茶だ」と作中突っ込みがあるけれど、つまりは「当時は封印せざるを得なかったかもしれないけど、今なら出来る」噺だった。
この噺は、志ん朝の「大工調べ」を聞いて「俺もああいうかっこいい噺がやりたい」と作ったんだそう。志ん朝との「出会い」からあれこれの枕には、またも爆笑してしまった。扇子と手拭の「トカレフ」にも師匠との思い出があるの、初めて聞いた。「大工調べ」の改作といっても、舞台は新潟、登場人物は日本人と中国人とロシア人と、あと動物(笑)日本人の船長が中国人の漁師に「大工調べ」の言い立てをやってみせると(ここがまず「第一関門」)「意味」を聞かれて適当に答えるというのが始まり。いつも思うんだけど、「落語を知らない落語家」だった白鳥さんの新作に、常に「古典落語」のエッセンスがあるんだから面白い。
些細なことだけど、「天国の何々師匠」というやつ、皆よく言うけど、白鳥さんが円丈師匠というの、初めて聞いた気がする、解禁?になったのかな(笑)