この落語家を聴け! 三遊亭白鳥



開口一番(三遊亭あおもり「牛ほめ」)
三遊亭白鳥「黄昏のライバル 談春師匠編」
三遊亭白鳥真夏の夜の夢
 (中入)
インタビュー(聞き手 広瀬和生)
(7/7・北沢タウンホール


開口一番は「寄席以外の高座は初めて」という弟子のあおもりさん(日本橋亭は寄席のうちなのか?)円丈は弟子に「(前座の内は、だったかな)下ネタはダメ」と言い渡してるそうだけど、白鳥さんとこはいいんだ、と思ったり(笑)尤も後で「あんなふうになるとは」と言っていたから想定外だったのかな。自身の一席目にちゃんと「牛ほめ」ネタを入れるところが優しい(笑)
後半のインタビューの最後の質問が「お弟子さんもついたということで聞きますが、落語家としてこれはしちゃダメだということをどう教えてますか」というものだったんだけど、「楽屋落ちはダメ」だと。話が出来ている上での楽屋落ちならいいけど、それに頼ってしまうから。確かに白鳥さんの噺は楽屋落ちにあふれていようと、それらが無くても成立するなあと思う。


「黄昏のライバル」を直近で私が聞いたのは彦いち版かな?今回は先月に談春の会に呼ばれて演ったのを、その時のあれこれ(「業務連絡」など・笑)を取り入れてやるんだから臨場感があって最高に面白かった。この噺、今更ながら、とても白鳥さんぽい。
初めて聴いた「真夏の夜の夢」は「好きなんだけどなぜか演らない噺というのがあって、これは3回くらいしか演っていない」。自身の高校生の頃の真夏の夜の思い出話を枕に本編へ。兄貴とさぶのやりとりが延々と続くのに、円丈一門の下の方の新作みたいだなと思っていたら、そこから話はダイナミックに、かつ、冒頭のやりとりの間に「仕込み」が存分にされていたことが分かるのだった。予定時刻を大幅にオーバーしたのはやはり普段演っていないからだろう、私も聴きながら長いなと思っていた。「ネタ下ろし」じゃないけど「原型」に触れることが出来たというわけか。


インタビューはまず「流れの豚次伝」や「落語の仮面」を挙げて、落語を作ることについてのあれこれから。作り方について何かありますか、と聞くと「あります」ときっぱり言い切ってたのが印象的。(白鳥さんのやり方によれば)落語は演じる人でないと作れない、というような内容。広瀬氏がとある噺家さんの名を上げて「彼なんて面白いですけど(なぜ売れないんでしょう)」と言うと、白鳥さんいわく「面白さを伝えるのがまだ上手くないから」。自身も二つ目の時より今の方が受けるのは、「伝える」のが上手くなったからだと。8年位?見てきた私も、あの時も面白かったけど今の方がうんと面白いなあと思うものね。
鈴本中席のトリを取ることもあって寄席の話も色々出たんだけど、やっぱり寄席も行かなくちゃとは特に思わず、寄席でも受ける白鳥さんのファンでいるってことが幸せなんだと思う。