三遊亭円丈・白鳥親子会



三遊亭白鳥「台所の隅」
三遊亭円丈「百年目」
 (中入)
三遊亭白鳥「奥山病院奇譚」
三遊亭円丈「強情灸」
 (2/4・シアターウエスト)


今年の会場は昨年リニューアルオープンした東京芸術劇場。白鳥さんのお膝元って感じでいい(笑)
恒例のネタ交換は無し、代わりに?「人情噺」というテーマあり。オープニングトークで円丈が「今日は『百年目』を…」と口にすると、会場に多少の困惑とでもいうような空気が流れる(笑)うちらは以前「百年目」のサゲ間違いに1メートルの至近距離で遭遇してるから、はらはらしてしまう。


芸人批評の本を執筆中の円丈は「枝雀を初めて聴いた」んだとか。「当時聴いていなくてよかった、これだけすごいと、それなら俺も!と影響されちゃうから」。その後に上った白鳥さんの枕の冒頭、予想通りだった(「聴いてない方がいいんですね〜!」笑)加えて初披露した、前座時代の志ん朝・枝雀二人会のエピソードに会場は大受け、「これはお笑いボックスに入れておこう」。まずは人情噺以外の軽い噺として「台所の隅で」。以前聴いたのより短めのバージョン。
中入後は高座に上るなり、師匠の「百年目」について「円生のオーラが見えましたね!笑」。(特に「百年目」の)円丈を聴いてると円生に似てると思うし、白鳥さんを聴いてると円丈に似てると思うけど、白鳥さんを聴いて円生のことは全く思い浮かばないんだから、面白いものだ(当たり前か・笑)「人情噺の要素の一つは『お節介』だと思うんです」と「奥山病院奇譚」。これも鉄板ネタの風格。


円丈は「古典落語」を演じる際、枕で当時の事情について話す(例えば「居残り佐平次」なら、昔の日本人は自分の店から「縄付き」を出すことを非常に嫌った、ということを説明しておく)。「百年目」の場合も、落語界に例えて「番頭」とはどんな存在か、ということを話す。その処理に追われ「枕で笑いも取れずに」(と自分で突っ込み・笑)本編へ。また新作古典問わず、本編に入る前に「ここから落語に入ります」と照れ隠しめいたことを言うのが常だけど、この噺は枕と本編の繋がりが強すぎるせいか、この日はタイミングを外してコケており、それが面白かった(笑)
「百年目」に旦那の「話が理に詰んでいけない」というセリフがあるけど、円丈のこの噺(というかどの噺)もそんな感じ。例えば番頭さんが使っていたお金は「歩合を貯めたもの」だなんて、そんなこと聴いた人が想像すればいいんじゃないか?と思わなくもないけど、そのこだわりが円丈らしくていい。
人情噺以外に選んだ「軽い噺」は「強情灸」。音源も持ってるけど、これはやっぱりナマで観なくちゃ。CDの解説によると二つ目時代に志ん朝に教わったそうで、「ぬうちゃんは分かってる!全てはここなんだよ(熱がる仕草をしながら)」と褒められたんだそう。
この日は二席とも名古屋ネタがあったのも楽しかった。「百年目」では旦那が尾張名古屋の商人で、番頭は名古屋弁で叱られる想像をする。「強情灸」では枕に名古屋と東京の銭湯の違いが語られる。事前に小倉トースト食べてきたかいがあった(笑)