公開初日、新宿ピカデリーにて観賞。原作は未読。とても面白かった。
オープニング、簡単なテロップに続いて「司会者」(スタンリー・トゥッチ)が登場、これがどんな世界だか(タイトルの意味)を示す。場面が替わり、悪夢に目覚める幼い妹と主人公カットニス(ジェニファー・ローレンス)との様子に、貧民層にとってそれがどういうことかを示す。この手際よさに引き込まれた。しかし後に、こうして簡潔に片付けないとボロが出てしまいそうな、ぎりぎりの映画だなと思った(笑)
ゲーム開始までにかなりの時間が割かれてるけど、長さを感じない。描かれるのはあくまでもカットニスと同じ地区から選ばれたピータであり、関わる人々でも周囲の人々でもないことが、後半のゲームの描写に効いてくる。これも、そうしておかないと色々引っ掛かってしまうんだろう。
ピータ役のジョシュ・ハッチャーソンは相変わらずのおたふくだけど、ジェニファーとの相性は最高。前半の二人の場面には胸がじんとしっぱなし。不安定なやぐらの上で燃える二つの炎のごとし…とは言いすぎか(笑)馬車の上で「その方がウケるから」と言われて手を繋ぐ時のジェニファーの顔など、とても良かった。
ジェニファーとジョシュが「安定」してるから、全編を通じて、二人の「外側」の、あまりに馬鹿馬鹿しい設定も、あまりに、とくにカットニスに都合のいい…といっても「内側」での都合だけど…話の流れも、気にならない。他人によってどうとでもなってしまう「内側」での出来事であることが、却って味わいぶかく感じられる。ラストがぞっとするほど「二人」の問題なのもいい。
「賢しい」カットニスに対し、ピータはごく普通の若者。「教育」を放棄した、かつての「勝利者」ヘイミッチ(ウディ・ハレルソン)に「説得」を試み、列車の中から金持ち連中に笑顔を振り向く。自分なりの小細工で頑張ってるのに、「どうしたら人に好かれるか分からない」カットニスの方が受けがいいと知った時の顔!まさにジョシュの本領発揮(笑)
「大人」としてはスタンリー・トゥッチやウディ・ハレルソンの他、ドナルド・サザーランド、エリザベス・バンクス、レニー・クラヴィッツなどが出演してるんだけど、出番が少ないとはいえ、若者二人に比べたらどれも陳腐なキャラクターに思われた。