「フィンランド映画祭 アンコール」にて観賞。
▽「マイアミ」は「アキ・カウリスマキが愛するフィンランドの映画」特集で「僕はラスト・カウボーイ」(2009)を見たことのあるザイダ・バリルート監督の2017年作。
上映前に流れた監督の挨拶映像で「複合的な内容でもって観客を驚かせたい」と聞いてしまったから、青春、旅、犯罪と要素が出てくる度に逐一これがそうかと思いながら見るはめに。でもその意識を飛び越えてぐっとくる箇所もあった。ベッドシーンかと思いきや一拍、ダンスが入るあの場面。
「僕はラスト・カウボーイ」の兄弟に対しこちらは姉妹の愛の物語。「お姉ちゃんは空を飛びたいと頑張って、手を懸命にばたばたやって、二センチ浮かんだ」「そっか、私、飛んだんだ」。再会した異母姉妹は年月を経てまた手をばたばたやってみる、今度は一緒だから楽しく、上手くいく、でもやっぱり長くは続かない。
初めてのダンスシーンの互い目線の互いが最高。それが妹が姉もマイアミも見ない晩からすれ違ってしまう。序盤でさあ寝ようと誘う姉の姿が幸福の象徴のようで印象的だったものだけど、すれ違ってからの二人は揃って眠れない。片方が寝ている時に片方が起きてしまう。別々に長い時間を過ごしてしまったから。物語の最後、妹はもう愛の時間を無駄にすまいと行動するのだった。
▽「サマー・フレンズ」はフィンランド映画祭2018にて「ワンダーランド」(2018)を見たことのあるイナリ・ニエミ監督の、遡って2014年作。
私も若い頃など数少ない女友達は互いに男のところから「帰ってくる」場所だった。誰にも必要というわけじゃないながら必要な者にとっては重要な人生の要素だけど、案外このことを描いた映画って少ないから、面白く見た。最後に「年上のアドバイス」として「いい男を見つけたら…」と付け足されているのはいかにもバランスが良い。男だって親友になり得る。
映画は女子三人が浜辺でタバコを吸いながら「26にもなって吸ってるのは哀れだよね」「うそ?27になったらやめようと思ってた」などと話す場面に終わる。私は幾つでやめたっけ、もっとずっと後だった。「私達にとってはポジティブなネガティブ」への大はしゃぎや夫の「浮気」に当然のごとく夫を責める妻など、女がちゃんと女を描いているのが細部から伝わってくる。
見ながら思い出したのは今年のEUフィルムデーズで(オンライン)上映された「フリア IST」。ベルリン芸術大学に留学中の主人公の友人の、各国を転々と留学しまくっている女子が活き活きと印象的だったものだ。本作のイーリスの場合は25歳にして「何を勉強していいか分からない」ことに引け目を感じている。私から見たらそんなもの、やれる限り色々やればいいと思ってしまうけど、若いほど焦るのだろう。涙ながらに呼び出された姉の言葉が優しかった。