最近観たもの


アメイジングスパイダーマン



始めのうち、古式ゆかしい感じのライミ版とどうしても比べてしまい、あそこが違うここが違うという見方から逃れられなかったのが、後半次第に自由な気持ちになってくる。ピーターが、糸でびゅんびゅん飛ぶ前に、鎖でいわば擬似プレイをする、その時の表情がとても良かった。主人公が輝いて見える場面のどれもが、「普通」のヒーローものではあまり無い状況で、意表を突かれ楽しかった。


原作は知らないけど、ライミ版のヒロイン・MJは「お礼」にキスをする、つまり自分のキスが「お礼」になって当然と思ってる女、漫画っぽい女、引いてはそういう世界だったけど、今回のヒロイン・グウェンはすごく「普通」だった。どちらもそれはそれで良さがある。


後で同居人と話してて気付いたんだけど、少々釈然としないのは、ある人の死が、この映画の最後のセリフのために思えてしまうこと。

アタック・ザ・ブロック



偶然にも先日観た「キリマンジャロの雪」(感想)と同じく、スパイダーマンのような「ヒーロー」に憧れる男の話だった。


作中のニック・フロストいわく「あいつら可愛いだろ?」。団地という舞台や不良少年+住人たちのキャラクターのさばき方が良く、「グーニーズ」のような懐かしさと、クールな展開の今っぽさが両方味わえる。私としては、それらがミックスされた結果か、受ける熱量がずいぶん低くて、体温が全然上がらなかったけど。とはいえシネクイントから帰るエレベーターには、さっと滑り込んでしまった(笑)


印象的だったのは、あの女性が、自分を襲った強盗(少年)たちに付いていく決心をする場面。「合理的」に考えてのことだろうけど、あれで十分、面白くもあるし、ぐっとくる。だから、彼女の恋人についてのやりとりや、主人公の「事情」の見せ方は、それまでの映画の空気からしても、露骨に感じて白けてしまった。最後のアレも、突然おいてけぼりを食わされた感じ。映画で「成長」を見せるというのも、結局は「好み」の問題なのかな、なんて考えてしまった。


▼素敵な人生の終り方


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ジャド・アパトーアダム・サンドラーが組んだ2009年作、原題「Funny People」。白血病を宣告された人気コメディアンと、彼に見込まれアシスタントとなった若手コメディアンとの、生死がどうこうというより、コメディアンの生態を描いた物語。キャスト&ゲストが超豪華。


オープニングはセレブのアダムが自宅で「イタズラ電話」をしてるところ。豪邸で一人、テレビ5台それぞれに自分の映像を流して観る。外に出れば一般人のカメラに、ちょっとしたギャグ付きで応える。この淡々とした感じがいい。
一方ではセス・ローゲンジョナ・ヒルジェイソン・シュワルツマンの駆け出し3人組が共同生活をしており、冒頭からジョナがセスに「お前なんで痩せたんだよ、笑われなくなるぞ」なんて言う。カフェでネタ作りをしたり、youtubeを使って名をあげようとしたりといった場面はそりゃあ観ていて眠くはならないし、大先輩であるアダムが半漁人や赤ん坊に扮した映画をこぞって「意外と深い」なんて評するあたりもいかにもで笑える。


アダムとセスの「ステージ」も何度か見られる。「ドラマチックなドキュメンタリー」感のある映像がいい。死を意識したアダムが舞台で「暗い」ネタを口にする時の、ヤケになるわけでもキレるわけでもない、客席の方も白けるわけでもない、微妙な感じが悪くない。二人が初めて言葉を交わす駐車場での一幕、アダムが病気を告白するキッチンでの一幕などの、コメディアンのジャブとでもいうような空気も面白い。


しかしこの映画、140分もある!半分あたりで「病気」には一応の決着が付き、その後はアダムと元恋人のレスリー・マンがよりを戻すか否かというゴタゴタがだらだら続くので飽きてしまった。最後は再び「コメディアンの生き様」に戻ってシメてくれるけど。
ビートルズ関連の曲が多数流れる他、最近じゃ「星の旅人たち」で名前を聞いたジェイムズ・テイラーが出演し演奏、状況で笑わせてもくれる。アダムも長丁場で歌声を披露、こういうのが長いんだよなあ!私はやっぱり、近作なら「ジャックとジル」のようなアダムの方が好きだな(笑・一番好きなのは何と言っても「エージェント・ゾーハン」!)