立川談笑「転失気」
立川談笑「長短」
(中入)
立川談笑「文七元結」
(1/17・国立演芸場)
いかにも談笑!って感じの三席。「前座の頃によく演った」前半二席など楽しかったけど、本人は少々疲れてる様子で、文七の最後で旦那が長屋を訪ねる際、トントンするのに一瞬扇子じゃなく手拭いを掴んでた(笑)
出囃子は「Black Night」。簡単な枕を振って「転失気」へ。「大人のウソ」に散々付き合わされた小僧さんに、医者は「分からなかったら素直に聞くのは大事なことだ/お前さん、今の気持ちを覚えておくんだよ」と言う。テーマはっきりさせちゃうのか〜と思ってたら、クライマックス?の和尚と医者とのやりとりでは、いかにも談笑らしい変態「めいた」空気が爆発、楽しかった。次の噺に入る前にいわく「『盃はございますか』で和尚さんが納得するのはおかしいですよね、だから修正しました/そんなことばかり気になって・笑」。確かにその部分はすんなり通ってた。
「長短」は初めて聴いたけど、確かに「現代的」で「リアリティがある」。通常演じられるようにのんびり喋るわけじゃなく、早口で話が飛んで分かりづらい長さん…って私みたい。饅頭についてのやりとりが身に染みる(笑)「気は合わないけど」「ぼくのこと好き?」なんてセリフが出てくるのと、円環構造?になってるのがいかにもという感じ。
中入後は年末ジャンボ宝くじの話題から。何かと思えば「文七元結」、談笑のを聴くのは(日記を検索したら)三度目。佐野槌の女将とのやりとりがやたら長いんだった。辛気臭いこの場面から一転、吾妻橋での一幕は力強くも可笑しい。その後、一人後悔する長兵衛と帰宅後の夫婦のやりとりって、今まであったっけ?「息子の死」という設定と合わせて、長兵衛が博打打ちになった「仕方なさ」が強調されている。私はそういうふうに考える落語家がいるってことが嬉しいけど、同居人は粋じゃないと言う、その気持ちも分かる。
ところで談笑の落語を観ると、普段気付きもしないことを考えることが多いけど、この日は、佐野槌の女将が「あんたのところで殺伐としたもん見てるより、うちに居たほうがこの子のため」と言うので、女が色々やろうとしたら吉原に居るのが一番ってことなのか、とあらためて思った。ちなみに「殺伐」も落語じゃあまり聞かないけど、ラストに「この『おじさん』が身請けをしてくれて」というのでびっくりしてしまった(笑)