立川談笑 月例独演会


立川談笑船徳
立川談笑「紙入れ」
 (中入)
立川談笑「品川心中」
 (7/12・国立演芸場


照明が全て落ちて真っ暗な中、後で本人いわく「5秒前に聞いた」というやり方で登場。出囃子は久々の「野球拳」。「5秒前」のせいか扇子を忘れ、お弟子さんに持ってきてもらう(笑)
クールビズに関する話、キャバクラの話を経て「船徳」。若旦那が全然可愛くない(笑)終わって「私にははまらないネタなんですよねえ、今回初めて来た方は、この落語家のどこが面白いんだと思うかもしれません」「でもボディブローのようにきますよ」。
なぜ演ったんだろう?と思っていると、続いて「紙入れ」。旦那の得体の知れなさと、「金さん」のお調子者ぶり&小心者ぶりの浮き沈みの激しさが楽しい。サゲが最高(だけど「ウラ」がある、後々分かる・笑)


中入後は「佃」で登場、いつもの「当時の品川は今だとどのあたりか」という簡単なマクラを経て「品川心中」。冒頭、お染が帳面を長々と繰るあたりから独特の雰囲気が出てくる。「どうしてもこの名前に目が留まってしまうのよね、くされ縁かしら…」
このお染と金さんは、先の「紙入れ」のおかみさんと貸本屋。「船徳」の若旦那も絡んでくる。前半二席はこのための布石だった。
「品川心中」って、私としては、落語ってそういうものだと思っていても、「後のない」お染の境遇、それでいて金さんを馬鹿にしてる風なのがやりきれない。ましてや談笑のようにリアルを追求する者がその筋で演ったら、どんよりしちゃう…と思いきや、いずれの点もカバーしてハッピーエンドにしてくれるんだから聴いてて楽しい。ちなみにサゲは、前回の月例独演会の続きにもなっていた(笑)
帰り道、同居人が「(談笑のも面白かったけど)あんな嫌な噺でもさわやかに聴かせてしまう志ん朝ってすごいんだなあと、改めて思った」。天才と、才能と努力の人、どちらにも役割があるものだ。