MASTER マスター



とても面白かった。今年三本目の「男が車の窓から手を出して風を感じる」場面のある映画、私の集めている「自宅に自分の肖像画を飾っている人」が出てくる映画でもあった。後者は勿論イ・ビョンホンね(とチン・ギョン、とカッコ書きにするのは目的はあれど二人の心情は随分違うだろうから・笑)


冒頭からカン・ドンウォン演じる刑事キム・ジェミョンが切り札を出してくるので、この後140分もどうするんだと思っていたら、古典的な騙し騙され、裏をかきかかれ、の数珠繋ぎで飽きさせない。ドンウォンが担当するアクションもいい。韓国の名作映画の数々が取り上げる、身内贔屓や女を人とも思わない扱いなどの問題が題材上全く出てこず、気楽に見られるのもいい。嫌なことを忘れていられる、こういう映画も大事。


金のみならず人命が奪われた時、チン会長(イ・ビョンホン)はヴァンパイアの正体を表し、キム・ジェミョンは「自分も一線を越える」と決意する。でもって一年の後、パク・ジャングン(キム・ウビン)の行動に触発され、キム・ジェミョンは遂に休暇を取って動き出す。周囲を巻き込んでの「似た二人」のシンプルな戦いとなる。


見ている間も見終わってからもカン・ドンウォン!(×100回)という気持ちにならざるを得なかったけれども、ビョンホンのさすがの貫禄には参った。しかも「なぜか」相棒はオ・ダルスなんだから。作中最後に顔を隠して現れてからの…が笑わせてくれる。パク・ジャングンへの「俺と二股かけるほどの奴なのか?」(と、その後のアップ…この映画は男のアップがいい)も素晴らしかった。