新宿武蔵野館にて公開三日目に観賞。
ドニー・イェン演じる「陳真(チェン・ジェン)」は、「ドラゴン 怒りの鉄拳」におけるブルース・リーのキャラクター。ドニーは既に95年のテレビドラマ「精武門」で陳真を演じており、本作はその後日談だそう。
「ドラゴン 怒りの鉄拳」の内容はほとんど記憶にないけど、印象的だったので唯一覚えていた「東亜病夫」(アジアの病人)の額?が、本作でもキーとなる。
第一次大戦中、ヨーロッパ戦線でこき使われる中国人労働者たち。一瞬ニュース映像かと思いきや、憂い顔のドニーがちゃっかりアップで登場。その後、タイトルが出るまでの怒涛の展開に、早速体温が上昇、肩に掛けてたショールを剥いだ。以降、エンディングまで心の中でショール剥ぎっぱなし。映画としての面白さは「イップ・マン」の方がずっと上だけど、とにかくドニー度がヤバい。
カンフーものって、ずばり「カンフー」を扱ってない限り、銃を使わない理由が「こじつけ」に感じられちゃう場合もあるけど、本作では、冒頭の一幕でまず「ドニー相手じゃ銃の意味ないな」と思わせられてしまう。
また最後の一戦のベタな描き方(一旦倒れたドニーが失った仲間のことを思い立ち上がる、戦闘の途中に回想カットが挿入されるなど)からも、ドニーがやりたかったのはまさに「怒りの鉄拳」、感情が産み出す闘いなのだと分かる。
タイトルの後、場面替わって1925年の上海、ナイトクラブ「カサブランカ」。オーナーはアンソニー・ウォン、花形歌手はスー・チー。ドニーさんは?と思っていたら、お得意のアレでもって登場。これに限らず、場面ごとのドニーの登場の仕方がかっこよすぎで笑えて困る。全力で走って去る後姿も見もの。
全裸拷問シーンでまずは立位背面ヌードを見せてくれたり、ラストファイトで本来脱いではいけないはずの正装を脱ぎ捨ててくれたり、全編に渡って、本人とファンにとってはたまらない場面が続く。
ドニーのアクションは勿論面白いんだけど、日本軍が反日中国人をリスト通りに殺していくくだりも最高。殺し方はバラエティーに富んでおり、見せ方も素晴らしい。加えてたまに、ドニー扮する「仮面の戦士」が乱入して日本人の方をぶち殺してくれるんだからたまらない。停まってる車の窓から飛び込んでくドニーがかっこよすぎる。
日本軍も中国側も首絞め、というか首吊りを多用する。作中の「日本人をやっつけろ!」みたいなビラにも首吊りの絵が添えてあった。中国には独特の首吊り文化があるんだろうか?
出てくる女たちは、ドニーの妹を除き、女であることが仕事。だから皆、仲間意識を抱いている。将軍同士の会食の席で、面倒な状況に愛人同士が目を見交わす、ああいう描写がいい。
スー・チーの「撃っちゃうじょ〜」みたいなキャラには、ああいうやり方もありかと思わせられた。彼女とドニーとのくだりはまさに「ラブロマンス」という感じ、それこそ映画「カサブランカ」の世界。ドニーさんにおでこくっつけられたら、どんな匂いがするだろう?