「史上唯一、大統領に直接迎えられた」アメリカ陸軍442連隊に関するドキュメンタリー。元兵士の証言を交えながら、真珠湾攻撃の後に収容所に送られた日系人の境遇、ハワイの日系二世が第100隊を結成、本土で442連隊が創設されるまでのいきさつ、その後の「功績」の数々が語られる。
兵士らの顔と言葉だけでも面白く、価値がある映画。作中「我々は消耗品だと分かっていた」という言葉があり、しょうもない感想だけど、本物の「expendables」だなあと思ってしまった。死傷率は314パーセントだという。
442連隊は「これまでの部隊が2年かけても出来なかったことを、30数時間で成し遂げる」ほどの最強陸軍。終盤、オリエンタルな音楽をバックに、彼らがなぜこれほど「活躍」できたか語られる。いわく、一世が教えた「努力」「辛抱」、「恥」を忌む…これらの「大和魂」のためである。東条英機の手紙や松岡洋祐の講演における「君たちアメリカ国民はアメリカのために堂々と戦え」という言葉にも触れられる。
端的には、日系人の地位向上のため、家族を収容所に人質に取られてるから、でもある。元兵士の一人によれば「出撃の前、昨夜何を考えたと聞いたら、皆『家族が恥をかかないように』と答えた」そう。「国にひどい仕打ちをされたからってクサったりせず、忠誠心を見せる」なんてすごいことだけど、それしか道がなかったのだと思うと胸が痛む。クサることもできない世の中は、できれば小さくあってほしいと思った。
満州に従軍していた私の祖父は、当時の話をあまりしなかった。母によると「したがらなかった」らしい。戦争ドキュメンタリーを観ると、そうした「語らない人」のことを思ってしまう。
映画の最後には、兵士たちが患った、あるいは患っている精神的な病について述べられる。精神科医いわく「彼らは他の人々と違い、辛かったことでなく楽しかったことを語る」。元兵士たちの口からは「アメリカは世界で一番いい国」という言葉が幾度か聞ける。もっとも、そう思える人だけが口を開いてるのかもしれない。
オープニングには鮮やかすぎるほど鮮やかなグリーンの中でゴルフに興じる元兵士の姿、ラスト近くには自宅で料理をする彼らの姿が挿入される。ハムサンドを作って奥さんと食べる者、ベーコンと卵にコーンフレークの食事を、さっと手を合わせた後に一人で食べる者。当たり前の幸せ。
喜太郎の音楽の使い方が、私にとっては集中力を阻害されるほどうるさく、それだけが残念だった。