グーグーだって猫である



新宿武蔵野館にて観賞。レディスデーでもない平日の夜なのに、場内は満員だった。隣は私の父親(60代半ば)くらいの年齢のおじさん。
大島弓子の作品はほぼ読んでるけど、原作とする映画はこれが初めて。
・でもこの映画、全然「大島弓子原作」じゃなかった!猫もあまり出てこない。私は猫に興味がないのでいいけど…
・「天才漫画家・小島麻子(=大島弓子)」(小泉今日子)に色々なことが起こる様が、「先生は…」という主語で外側から語られる。だから「少女漫画」的世界でもない。言うなれば「大島弓子応援映画」。
・好きなタイプの映画じゃなかったけど(森三中がおでん?の串持って登場するようなセンスが苦手)、観終わって、大島弓子のことで頭がいっぱいになり、読者と一晩中語り合いたい!と思った。
・以下は、映画の感想というより、いろいろ思ったこと。
上野樹里演じるアシスタントが「小島麻子」の作品に出会った際の回想シーンが何度か挿入される。縁側に寝転んで「ASUKA」を読みながら泣き始めた娘に、両親が驚く。私は少女漫画を親の近くで読んだことはなかった。正しくは、普通の漫画は家族や友達との共有世界で読んでたけど、「少女漫画」は一人の世界でしか読まなかった。
・私は小学生のときに知った岩館真理子を自分のための作家だと思ってるけど、大島弓子についてはそう思わない。10代前半で出会わなかったから。ただの、普通のファンだ。
・「サバ」の発音が、私が心の中で呼んでたのと違った。麻子とサバとの会話シーンはつまらなくて(加えて長いので)眠りそうになった。
・「砂浜ぜんぶがグーグーのトイレ、ですね」というセリフに、ちょっと「ロストハウス」の「世界を自分の部屋に…」というのを思い出した。
上野樹里が彼氏の「浮気」を知るのが、ラブホテルから出てきたところに遭遇して、というのもわりと大島弓子ぽい感覚だと思う。
加瀬亮のルックスも大島作品に合っていた。でもあんな傍若無人な男、見たことない。私は絶対いや〜。
・「読んだ人が幸せになれるような漫画を描きたい」というのは、大島弓子が実際に思っていることなんだろうか?そうは思えない。
・私にとって「独り暮らし」の良さを気張らずに伝えてくれ、共感できたのは、淀川長治大島弓子だけだ。コーヒーカップでのごはん。
・エンディングロールに「取材協力 新條まゆ」とあったけど、何を取材したんだろう?実は冒頭、昔ながらの漫画家の仕事場の様子に、今じゃ新條まゆみたいなところもあるもんな〜と思ったので、ちょっとびっくり(笑)ちなみに作中の作画は秋本尚美。懐かしい名前だ。