人生はローリングストーン



実在する記者のデヴィッド・リプスキーが、作家のデヴィッド・フォスター・ウォレスと過ごした5日間について記した回想録を元に制作された映画で、日本ではソフトスルー。記者にジェシー・アイゼンバーグ、作家にジェイソン・シーゲル


まともに生きようとすれば死ぬしかない、という世界に私達は生きていると再確認した。これは、それでも「死」じゃなく「生」に向かわんとする人の話である。だけど、「どうしたって負け」てばかりの人生から自ら退場したって、誰にも何も言えない。いや、少なくとも「近く」にいなかった人には何も言えない。ウォレスの家を発つ直前、ジェシーがあの声でうちの中を「記録」するくだりに涙があふれてしまった。彼が居るのは「洗面台の棚」じゃない。だからエンドクレジットの途中のあの一幕にも泣けるのだ。
映画としては、始めどんな話だか分からずとも、冒頭の「ダイエットコーク」からもう「始まってる」いる。でもって象徴的な「モール・オブ・アメリカ」。「90年代の日本」を舞台にしてもこういう…これに近い物語ってありえるだろうか?と思いながら見ていた。作家なら居ないこともないか。