ラストスタンド



シュワルツェネッガー10年振りの主演作。アクション映画としてはここ数年で一番ってくらい面白かった。


オープニング、ラスベガス郊外のハイウェイ脇にパトカーが一台、横を無灯の車が猛スピードで走り抜ける。一瞬、えっ宇宙船?と思う、画面中の警察官はジェット機だと思う。「車が速い」ってことで様々な問題(「こちら=味方」側の制約作り)をクリアしてるのが面白い。エンドクレジットにも使われてる、「モンスター」みたいな車とそれを追うヘリコプターを横から映した画が、なんだか異様でかっこいい。
斜め気味の映像やクリアな音が現代的。とうもろこし畑の上を飛び立つカラス?や最後の肉弾戦でのBGMなどには(監督キム・ジウンの?)アジア的なセンスとでもいうものを感じた。


本作の「思い」は、シュワちゃん演じる保安官が、エドゥアルド・ノリエガ演じる麻薬王に吐き捨てる「移民の面汚しめ」の一言に込められている。
色々な出自の役者が、アメリカにおける様々な移民を演じている。「悪い移民」のヤな感じ、検問中、エンジンをふかす音に気付いてやってきた警察官に向かって、ちょっとずつ車を詰めていく。逃亡の撹乱役として捕えられたニコラス・ケイジのようなスペイン人は、弁護士に通訳してもらってる途中から英語を口にし始め、フォレスト・ウィテカー演じるFBI捜査官が「話せるのか」と言うと「お前がスペイン語、分からないみたいだから」とせせら笑う。こうした場面のいやらしくむかつくこと!一方「善い移民」、あるいはマイノリティは、ただただ「善い街」を守るために戦う。


映画の中味はシュワちゃんによるイーストウッドが7割、シュワちゃんによる成熟したシュワちゃんが3割、という感じ。ダイナーのカウンターでゆっくり振り向いたり、ポーチで瓶ビール!を飲んだりするシーンを始め、建物の中の光の入り具合やあおり気味のショットなどが、意外にも?とても決まってる。
でもってスクールバスの後部ドアを開けて…ってのは、(同居人に言われて気付いたんだけど)イーストウッドでもあるけど、幌馬車の代わりでもあるんだよね。なんの映画だっけ?


それにしても、西部劇のメインキャストに女は少ない(「実際」少なかったから)けど、現代の西部劇である本作には複数出てくるのだった。でも皆似ている、具体的には顔と体型と年齢の「範囲」が男のそれに比べてものすごく狭い。昔のと今のとどちらが見てて快適かっていうと、大して変わらない。男みたいに色んな女が映画に出てくる日がいつか来るのかな?などと思った。