藁の楯



連休中の新宿ピカデリー、夜の回は満席。面白かった。


冒頭、テレビのニュースを目にした銘苅(大沢たかお)が「あの事件か…」とつぶやく。残虐な出来事などたくさんありすぐにそれとは分からない、世の中は事件だらけで「被害者」も大勢いる。しかし(上記「ラストスタンド」の「移民にも色々」じゃないけど)「被害者」のスタンスも色々なのだ。


大富豪が、孫を殺した犯人の首に10億円を掛けた…という、面白そうだけど現実味の無いストーリーが、てきぱきした描写の積み重ねですんなり飲み込める。この導入部がまず楽しい。
予告編から新幹線ものを期待してたので、移送手段が変わっていくのには少々拍子抜けしたけど、護送車をパトカーが囲んで進む様は陸軍歩兵みたいでわくわくさせられたし(ここはもうちょっと派手にしてほしかった!)、人数が減り「足」を無くして立ち往生するドラマも面白かった。「アクション」が次第に小さくなっていくことで、種類の異なるサスペンスが味わえる。
いわゆる鉄道パニックものの多くは列車そのものが「普段」と違うアクションをするわけではなく、走行する姿、内部でのドラマ、ちょっとした状況説明、そして本部の地図(笑)の組み合わせで興奮させられるもの。本作の「新幹線」パートは小ぶりながらそのバランスがいいなと思った。昭和っぽい音楽も合っていた。まあもう少し新幹線、見ていたかったけど。


役者は皆「適当」という感じ。永山絢斗の逆さ顔のどアップを延々と見せられるのには、いい意味でうんざりした。主演の大沢たかおは私の好きなドラマベストテン(ここ10年殆ど見てないけど)に入る「オンリー・ユー 愛されて」に出てた時から、何だかんだで好き。本作の彼は力の入り具合が「自然」で、とても良かったと思う。